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協会の取組 全国農業システム化研究会

AI灌水施肥システム「ゼロアグリ」による効率的な施設トマト栽培技術の実証に係る現地検討会を開催(青森県蓬田村)

令和8年度 スマート農業技術等による土地利用型作物の生産性向上に関する実証 / 野菜

 

 青森県蓬田村では、陸奥湾に面した冷涼な気候と昼夜の寒暖差を生かし、施設トマトの栽培が盛んに行われている。豊かな風味と良好な食味が特徴で、近年は大玉トマトに加え、需要の高いミニトマトの生産にも力を入れている。また、タイマー式の自動灌水・施肥システムの導入など、省力化を図りながら安定生産に取り組んでいる。
 タイマー式の自動灌水・施肥システムでは、灌水量や施肥量の設定を各生産者の経験や判断に頼る部分が大きく、生育状況や気象条件に応じた適正な管理となっているかを把握しにくいという課題がある。また、近年の高温など気象条件の変化により、適切な灌水・施肥管理が一層難しくなっており、生産者の管理作業や判断にかかる負担も大きくなっている。
 そこで、青森県東青農林水産事務所では、令和7年度から全国農業システム化研究会実証調査事業により、AI灌水施肥システム「ゼロアグリ」を導入した効率的な施設トマト栽培技術の実証に取り組み、収量・品質及び経済性などに及ぼす影響を検討している。

○試験区の構成

○耕種概要
供試品種     :りんか409(台木:キングバリア)
定植日      :令和8年5月7日(対照区)、5月8日(実証区)
土壌改良資材   :カリプラス60kg/10a、ブルーサイト(水酸化苦土)20kg/10a
基肥肥料(溝施肥):OYKハイパワーエナジー(4.4-4.3-3.4)90kg/10a、
           トマト専用肥料(14-13-14)40kg/10a(対照区のみ)
追肥       :ドリップチューブ(ストリームライン60)を用いて農耕養液1号(14-8-25)を施用
※通路施肥として、7月中旬にS646(16-4-16)を5kg/10a施用
※実証区は定植前に準備灌水(48時間連続供給)を実施

 令和8年8月27日、蓬田村の現地実証圃場において現地検討会が開催された。当日は、青森県関係機関、JA関係者、市町村関係者、生産者、資機材メーカー等約50名が参加した。参加者は実際の栽培状況を確認しながら説明を受け、活発な質疑や意見交換が行われた。
 青森県東青農林水産事務所農業普及振興室の野呂副室長からは、現地検討会の趣旨が説明され、これまでの経験や勘に基づく栽培からデータに基づく栽培への転換につながることへの期待を述べられた。

青森県東青農林水産事務所農業普及振興室の野呂副室長からの挨拶

 続いて、自動灌水施肥システム「ゼロアグリ」について、(株)ルートレック・ネットワークス エリアデベロップメント部の世羅部長から説明があった。ゼロアグリは、トマトなどの果菜類を中心に全国で480台以上が導入されており、その特徴として、①データに基づく高精度な灌水施肥、②データ蓄積による「勘」に頼らない栽培、③スマートフォンによる遠隔操作・異常通知、④充実したサポート機能などが紹介された。

(株)ルートレック・ネットワークス エリアデベロップメント部の世羅部長によるゼロアグリの説明
青森県東青農林水産事務所農業普及振興室の若宮総括主幹による実証調査概要説明

 実証担当農家であるJA青森トマト部会東つがる支部の津島支部長からは、ゼロアグリを使用して2年目となることから、前年の結果をふまえた土壌水分センサー設置深の変更、日窒素施用量の上限を意識したppm濃度設定などが紹介された。
 「毎日の潅水量は、基本的にゼロアグリの判断に任せている。ただ、急な晴天で、前日の予報日射に基づく計画潅水量では不足と判断した場合にのみ、急速調整で潅水量を追加したが、その回数は前年の5分の1になっている。」との説明があった。

 また、「こんなに少ない灌水量でいいのかと思うこともあるが、現状では生育に問題はない。これまでの管理では過剰な部分もあったことに気づいた」との感想が述べられた。さらに、「A品率が向上し、省力化にもつながるのであれば、大玉トマト農家の減少に歯止めをかけることにもつながる」と、今後への期待が寄せられた。

ゼロアグリを使用した感想を述べるJA青森トマト部会東つがる支部の津島支部長

 今後も10月下旬まで収穫が続くため、農業普及振興室では引き続き調査を行い、収量・品質や生産費等の調査データを取りまとめ、ゼロアグリの導入効果を検証する予定である。

実証区のハウス内に設置されたゼロアグリ
実証区のトマト
対象区のトマト