福岡県柳川市は、水稲・麦・大豆による2年4作の二毛作地帯であるが、近年の生産者の高齢化に伴い、担い手の水稲作付面積が増加しており、育苗に必要なスペースや労働力の確保が困難になりつつある。加えて、田植え時期への作業集中も大きな課題となっている。こうした背景から、代かきや田植作業を省略できる「乾田直播」の普及が進められている。
そこで、南筑後普及指導センターでは、令和8年度に全国農業システム化研究会事業を活用し、播種・施肥作業を同時に行うことができ、安定した出芽が期待できるスリップローラーシーダー(強制駆動鎮圧播種機)を使用した実証調査に取り組むこととした。
実証の概要は以下の通り。
①スリップローラーシーダーとケンブリッジローラーの組み合わせと地域慣行点播の出芽率の比較
②スリップローラーシーダーとケンブリッジローラーの組み合わせと地域慣行振動鎮圧の作業時間の比較
実証区の概要は以下の通り。

5月19日には実証農家である「農事組合法人しもたな」の試験圃場で、「乾田直播現地検討会」が開催された。晴天が続き、絶好の作業日となる中、県普及関係職員、生産者、資機材メーカー、農研機構など約20名の参加があった。
福岡県南筑後普及指導センターから実証調査の説明、クボタアグリサービス(株)から機械の説明があった後、実演が始まった。
今回播種作業で使用したスリップローラーシーダーは、ブロードキャスターによる施肥作業がなくなることや、作業幅が大きいことで、作業時間の短縮につながることが紹介された。












収穫は10月上旬ごろを予定しており、播種・鎮圧方法の違いによる収量や品質などを比較していく。
今回の実証では、スリップローラーシーダーとケンブリッジローラーとの組み合わせによる鎮圧に係る作業軽減効果を検討することが目的で、労働時間やコスト低減効果を可視化し、経営的メリットを明確化することにより、生産者の導入意欲向上と、さらなる乾田直播の推進、定着を図る。この実証を通じ、実証技術が地域へ波及できることを期待したい。