品目横断的技術

添付ファイル:  【技術】品目横断(PDF:7.42MB)(品目の一覧と個々のデータがご覧いただけます)  
 
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技術名 技術の特徴 開発機関名 ページ
高濃度有機性汚水を低コストで浄化できるハイブリッド伏流式人工湿地ろ過システム  酪農場、養豚尿液やバレイショデンプン工場などからの高濃度の有機性汚水を、好気と嫌気の両方のろ過方式を組み合わせたハイブリッド構造により浄化する、多段式の伏流式人工湿地ろ過システムです。
 安全バイパス構造や軽量浮遊資材の表面敷設などの仕組みにより、ろ床の目詰まりや冬季の凍結を回避しながら、ヨシやミミズ、微生物などからなる浄化機能を支える生態系を作って、竣工直後から汚水を浄化できます。
 面積あたりの浄化効率が世界的な設計標準値よりも大きいことを現地実証し、既存の伏流式人工湿地システムよりも省スペースで設置できます。
 同じ処理能力を有する従来の機械的処理法に比べ、初期費用は3分の2程度、電気使用料などの運転費用は20分の1程度です。
北海道大学 1
薬用植物の植物工場における栽培技術の開発  現在漢方薬の材料となる生薬原材は需要量のほとんどを海外からの輸入に頼っており,将来的に供給が不安視されていることから,国内生産による安定供給が望まれている。薬用植物の中には日本の気候下では薬効成分を定められた含有量で産生しない場合があり,そのような場合には施設栽培,人工環境下での栽培が有効であり,植物工場も有力な栽培施設のひとつである。しかし,薬用植物の人工環境下での栽培事例は非常に少ないこと,多用される薬用植物は地下部を利用するものが多く,植物工場における主要な栽培方法である養液栽培になじみにくいなど,課題が多い。これらの課題を克服するため,秋田県立大学生物資源科学部植物資源創成システム研究室では,需要量の多い薬用植物(マオウ)や,特に地下部(根茎,根塊)を利用する薬用植物 (オウレン,トウキ,ジオウ )を対象に,植物工場における最適栽培条件,促成栽培法,有効な養液栽培技術の開発研究を行っている。また,薬効成分の二次代謝の環境応答に関する研究もすすめており,環境制御によって薬効成分を高蓄積した薬用植物生産技術の開発にも取り組んでいる。 秋田県立大学 10
バイオマスエネルギー作物の耐冷性向上技術   農山漁村における再生可能エネルギーの活用を図る上で、油脂系バイオマスは、ディーゼルエンジン動燃系のエネルギー源として重要である。油脂系バイオマスではジャトロファなどの熱帯作物において単収が特に高いことが知られているが、耐冷性に劣るため冷涼地での栽培は進んでいない。本シーズでは、油脂系バイオ燃料植物の耐冷性を向上させるため、耐冷性の付与物質である二糖類のトレハロースを、ジャトロファ等のバイオ燃料植物において蓄積させ、このバイオ燃料植物に遺伝子組換え手法を用いてトレハロース生合成酵素遺伝子を導入し、耐冷性を向上させる技術を開発した。また、組織培養変異を用い、遺伝子組換え技術によらずに耐冷性のバイオ燃料作物を選抜育種する技術系を構築した。これらの技術は、他のバイオ燃料作物の耐冷性を向上させることにも活用可能である。 鳥取大学 11
簡易開閉式トンネル  慣行トンネルと比較して保温性は同等で,開閉作業を大幅に省力化でき.る。トンネルの幅や高さを変えることで多重被覆も可能であり,既存ハウスに簡易に設置できる被覆トンネルである。 宮城県農業・園芸総合研究所 12
梅調味廃液による鶏糞堆肥製造時のアンモニア臭抑制  和歌山県内で調味梅干製造に使用された後の梅調味廃液は年間18,000トン発生し、内10,000トンが産業廃棄物として廃棄処分されているが、主要成分として糖分20%程度、塩分8%程度、クエン酸3%程度を含んでいる。
この梅調味廃液はpHが3程度と低いため、pHの高い鶏糞に施用するとアンモニアガスの発生を抑制することができる。
鶏糞堆肥に梅調味廃液を5%添加することで、アンモニア臭を30%抑制することができ、第一リン酸アンモニウムを併用することで約50%のアンモニア臭発生を抑制することができる技術である。
和歌山県農業試験場 13
鶏ふん、豚ぷん堆肥の窒素肥効予測ソフト  鶏ふん、豚ぷん堆肥の全窒素量、無機態窒素量および水分などを入力すると、堆肥からの窒素肥効パターンを予測できるソフトを開発した。また、無機化特性値を基に、地温データを入力すると任意の時期、期間における窒素の効き方を作図することができる。 岡山県農林水産総合センター農業研究所 14
土壌水分や土性の違いが主要な有機質肥料の窒素無機化に及ぼす影響 ・有機質肥料の窒素無機化(分解)については、原料の配合割合が異なる各種の有機質肥料においても、原料ごとの窒素無機化の結果を組み合わせることで対応できる。
・土壌は灰色低地土に、土壌水分はpF1.2〜2.1で適用できる。
佐賀県農業試験研究センタ− 15
雨水を利用した施設園芸のかん水量確保技術  施設園芸に使用する灌漑用地下水の塩水化が進み、灌漑用水の不足が大きな問題となっている。そこで、連棟ハウスの屋根に降った雨水を簡易的な貯水槽※に貯留して、灌漑用水として利用するための貯水槽規模を決定する水収支シミュレーションを検討した。
※簡易貯水槽 
単管パイプやコンパネ、軟質塩化ビニルシート等のホームセンターで購入できるものを利用し設置。資材購入費用24万円程度。
熊本県農業研究センター生産環境研究所 16
ビーツ、フダンソウおよび飼料ビートの遺伝解析 ビーツ、フダンソウおよび飼料ビートは、いずれも栽培ビート(Beta bulgaris ssp. vulgaris)に属する。当研究室では栽培ビートの別種テンサイ(サトウダイコン)の遺伝情報や解析技術を保持しており、これらがそのまま利用できる。 北海道大学大学院農学研究院 19
イネ科植物の次世代におけるストレス抵抗性強化法  本技術のイネ科植物の次世代におけるストレス抵抗性強化法は、少なくとも当代の植物の栄養成長期においてストレス処理をかける工程を含むことを特徴とする。
 本技術のストレス抵抗性を強化されたイネ科植物の種苗は、上記のイネ科植物の次世代におけるストレス抵抗性強化法によって得られることを特徴とする。
国立大学法人岩手大学 20
微量元素による産地特定技術 食物中微量元素を測定、産地別のデータベースを作成し、産地を特定する技術。 東京農業大学 21
露地野菜等に対する土壌の可給態リン酸含量に応じたリン酸施肥 葉茎菜類のハクサイ,根菜類のニンジン,サツマイモの代表作物を選定し,土壌の可給態リン酸含量とリン酸施肥の違いが収量に及ぼす影響を調査し,県内の露地野菜畑地における土壌の可給態リン酸含量レベルに応じた,統一的なリン酸施肥基準量を検討した。
 その結果,可給態リン酸含量(トルオーグ法)が土壌診断基準値の50mg/100g乾土を超える場合は無施肥,30〜50mg/100g乾土では50%減肥が可能となった。
鹿児島県農業開発総合センター 22
アザミウマ類の薬剤感受性簡易検定法の開発  施設野菜等の害虫であるアザミウマ類は、産地等によって薬剤感受性が異なる。そのため、効果的な薬剤の選定が重要である。しかし、既存の薬剤感受性検定には時間と労力がかかる。そこで、薬剤感受性簡易検定法を開発した。
 薬剤感受性簡易検定法では、プラスチック製遠沈管(50ml)の上部に採集管を取り付け、採集器具として用いる。アザミウマ類の採集後に採集管部分を外し、検定植物を入れて、供試虫の生死を判定する。
 このように、採集容器と検定容器を兼ねることで、供試虫を移し替える手間が省略できる。また、24時間後の生死判定で感受性検定が可能で、既存の検定方法の2週間と比較して迅速である。
石川県農林総合研究センター農業試験場 25
赤色系ネット被覆によるアザミウマ類防除効果 微少昆虫用の防除資材としては、通気性や温度の問題から目合いの細かさには限界がある。そこで昆虫が認識できない赤色領域(620nm〜)の0.8mm目合いの赤色系ネットにより通気性を確保しつつ防除効果を確保した。 神奈川県農業技術センター 26
広域防護柵の河川開口部に防草シートをのれん状に垂らして目隠しすることでニホンジカの侵入を防止できる 広域防護柵の河川開口部に防草シートをのれん状に垂らして目隠しすることでニホンジカの侵入を防止できる。防草シートののれんは護岸の上に渡した単管パイプに1m幅の防草シートを20〜30cm重ねて針金で固定する。それぞれのシートの下部に”おもり”として塩ビパイプ等を固定してのれん状に垂らす。下部を固定しないため、河川の流下物が堆積しにくい。
長野県農業試験場 27
ポリエチレン製ネットと通電線を組み合わせた電気柵は、イノシシ・中型獣の侵入を防止できる 市販のポリエチレン製ネット(幅1m、網目サイズ16mm)と通電線2段の組み合わせで、イノシシ・中型獣の農地への侵入を防止することができる。
 電気柵下部の除草等の管理作業を可能にするため、ネットは地際から90cmの位置で支柱に固定し、地面に10cm垂らす。ネットは地面に固定せず、支柱にトンネルパッカーで固定する。
 ネット下部からのイノシシの侵入を防ぐ目的で、「突出し型クリップ」を使用してネットの外側10cm、地際からの高さ15cm・30cmの位置に通電線を2段設置する。
長野県農業試験場 29
有機栽培畑における生産力向上のための緑肥活用技術 ・有機栽培への転換を目指した緑肥の導入モデルを示すとともに、転換後の地力維持に向けた緑肥活用法を提案した。
・緑肥の作付により熱水抽出性窒素は増加し、たい肥の施用でさらに増加し、その増加程度は、緑肥やたい肥等に由来する難分解性の有機態窒素の増大に伴って緩慢となることを明らかにした。また、有機栽培畑への転換を前提とした緑肥導入モデルを提示した。
(地独)北海道立総合研究機構農業研究本部 31
疎水材暗渠の排水機能簡易診断と機能回復手法 疎水材暗渠の機能低下要因として、疎水材自体の腐朽による断面縮小や埋戻し土厚さの増加がみられ、疎水材周辺の土壌物理性不良、暗渠管理の不良など疎水材以外による影響も想定された。また簡易な土壌診断による圃場の排水機能の確認方法と、疎水材の状態に対応した暗渠の機能回復手法を策定した。 (地独)北海道立総合研究機構農業研究本部 35