技術【茶】


添付ファイル:  【技術】茶(PDF:4.94MB)(品目の一覧と個々のデータがご覧いただけます)  
 
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品質向上に資する栽培技術
技術名 技術の特徴 開発機関名 ページ
高品質・高収益な覆い下夏茶生産に好適な被覆方法 1 被覆資材を用いて夏茶(二、三番茶)を覆い下栽培する場合、被覆開始が早いほど遊離アミノ酸含量が高く官能評価が優れる。
2 覆い下茶の特徴である香気成分のジメチルスルフィド(青海苔様の香り)含量は、1.5葉期までに被覆すれば高くなる傾向を示す。
3 粗収益(市場評価額×荒茶収量−加工経費)は、被覆を1.5葉期から開始すると高い傾向がみられる。
4 1.5葉期に被覆開始した場合、被覆期間が長くなるにつれて生葉収量は増加するが、遊離アミノ酸含量は低下する。14日間程度の被覆で、遊離アミノ酸含量を2,500mg/100g以上に維持できる。
福岡県農業総合試験場 1
茶園における目標土壌中無機態窒素濃度に対応した春期の施肥法 1.煎茶園及び玉露園において窒素50kg/10aレベルの施肥を行う場合、春肥に硫安や化成肥料を施用すると、有機質主体の配合肥料を施用する場合に比べ、春期の土壌中無機態窒素濃度は時期別の目標濃度に近い値で推移する。
2.煎茶園において窒素50kg/10aレベルの施肥を行う場合、春肥に硫安や化成肥料を施用すると、有機質主体の配合肥料を施用する場合に比べ、一番茶の収量が増加する。また、荒茶中の遊離アミノ酸含量が増加するなど、一、二番茶の品質が向上する。
3.玉露園において、窒素50kg/10aレベルの施肥を行う場合、春肥に硫安や化成肥料を施用すると、有機質主体の配合肥料を施用する場合に比べ、荒茶中の遊離アミノ酸含量が増加するなど、一番茶の品質が向上する。
福岡県農業総合試験場 4
煎茶園の点滴かん水施肥による収量、品質向上と環境負荷低減効果 1 . 煎茶園において、樹冠下に窒素5 0 k g / 1 0 a を点滴かん水施肥すると、分施や液肥の施用効果で、一、二番茶ともに慣行施肥( うね間表層に化学肥料を施用、窒素5 3 k g / 1 0a ) に比べて2 割程度増収する 。
2 . 点滴かん水施肥すると、一、二番茶ともに品質が向上する 。
3 . 地下浸透水中の硝酸性窒素濃度は、黒ボク土茶園では点滴かん水施肥開始2 年で、赤黄色土茶園では3 年で環境基準の1 0 p p m 以下となり、慣行施肥に比べ環境負荷が大幅に低減される 。
福岡県農業総合試験場 7


その他の技術
技術名 技術の特徴 開発機関名 ページ
テアデノールを含む機能性微生物発酵茶を製造する技術 新規カテキン代謝成分であるテアデノールを高含量で含む微生物発酵茶の製造技術を提供する。 佐賀大学 10
茶(てん茶)の点滴施肥栽培 愛知県の茶点滴施肥栽培は、窒素源として尿素を用い、極薄い濃度(30〜100ppm)の液肥を毎日2〜4t/10a施用することにより、茶の健全な生育を促し、施肥効率を高めるのが特徴である。
愛知県農業総合試験場 11
二番茶を利用した抗酸化作用を有する八女発酵茶の開発 1 二番茶の荒茶に同重量の水を加え、黒麹菌Aspergillus awamoriを109cfu/kg添加後、35℃の好気条件下で6日間発酵させ、乾燥させると八女発酵茶ができる。
2 八女発酵茶は、in vitro評価法において、ヒト赤血球に対する抗酸化作用(赤血球の変形能低下を抑えて血管の閉塞を防ぐ作用)を有する。
福岡県農業総合試験場 12
プルートMCの冬季散布によるクワシロカイガラムシの省力的な長期抑制 1.プルートMCの1,000倍液をクワシロカイガラムシ雌成虫の越冬休眠期に散布すると、クワシロカイガラムシふ化幼虫の生育は第2世代まで抑制できる。
2.プルートMC散布後、最初の発生世代(第1世代)では、クワシロカイガラムシの雄まゆ発生指数抑制効果は大きくないが、第2、第3世代の抑制効果は高い。また、越冬休眠期(1月から3月)の散布時期による効果の差は小さい。
3.クワシロカイガラムシの雄まゆ発生量は、散布翌年の第2世代まで少なく推移する。
福岡県農業総合試験場 15
傾斜地茶園における性フェロモン剤の経済的な設置によるチャノコカクモンハマキ防除 1.傾斜地におけるハマキコン-Nのチャノコカクモンハマキに対する誘引阻害率は80%程度以上であり、交信攪乱効果が認められる。
2.ハマキコン-Nのチャノコカクモンハマキ巻葉数抑制効果は、多発生時でも効果が高い。
3.集団茶園の周囲5.4m(3うね)に250本/10a、その内側には150本/10aの設置密度とすることで、発生が比較的少ない年では秋季まで効果が持続する。
4.ハマキコン-Nを150本/10a設置するには、10aあたり40分程度の時間を要する。
福岡県農業総合試験場 18
一番茶芽出し肥への有機液肥使用による収量・品質の維持・向上  茶の減肥栽培が進む中、より肥効を高め収量・品質を確保する上で液肥の施用は有効な手段である。そこで液肥の点滴施用による配管施設の整備等を必要としない、茶乗用型防除機を活用した一番茶芽出し肥の有機液肥を用いる効果を明らかにした。
施肥方法
1.液肥は茶乗用型防除機に散布用アタッチメントを装着して茶樹株元に施用し、10aあたり3000?を1〜1.5時間で散布することができる。
2.液肥は市販の有機液肥(N:P:K:Mg=10:5:6:1)を使用し、芽出し肥として一番茶萌芽期に、10aあたり窒素量4.5kgを3,000gに希釈して散布する。
効果
1.減肥下(N-45kg/10a)であっても慣行施肥(N-55kg/10a、芽出し肥:硫安)と比べて一番茶芽の生育は優れる。
2.一番茶は慣行施肥と比べて同等またはそれ以上の全窒素含量を確保できる。
3.一番茶は慣行施肥と比べて生育による粗繊維(NDF)含量はほぼ同等に推移する。
4.一番茶の目標収量である650kg/10aに達した時の出開度は慣行施肥より低く、荒茶品質は向上する。
※慣行施肥(年間窒素施用量55kg/10a)に対し、年間窒素施用量45kg/10aで実施した結果である。
※施肥は年間窒素施用量に対して、春肥:30%(2回分施)、芽出し肥:10%、追肥T:15%、追肥U:15%、秋肥:30%(2回分施)、計7回に分施し、春肥及び秋肥は有機配合肥料、それ以外は硫安を使用した。
長崎県農林技術開発センター 21
紅茶製造における生葉コンテナ及び葉打ち機を使用した水分調整法  紅茶製造のための生葉水分除去に、緑茶用機械である生葉コンテナまたは葉打ち機を活用することで、狭い面積または短時間で水分除去が可能となり、紅茶製造の効率化が図られる。
1.100K型生葉コンテナを用い一晩(18時間)貯蔵し水分調整を行う場合は、青枯れ防止板(通風コーン)を8個用いることで水分調整効率が向上し、土間に厚さ約10cmに広げる製茶法に比べて1割程度の占有面積で水分調整が可能となり、製茶品質はほぼ同等である。
2.葉打ち機(粗揉機)を風量計算式に基づいて使用することで、約30分間で紅茶製造に必要な生葉含水率にすることが可能となり、製茶品質は、標準製茶法による翌日製造とほぼ同等である。
熊本県農業研究センター茶業研究所 22
茶園への牛ふん鶏ふん混合ペレット堆肥利用技術  牛ふん鶏ふん混合ペレット堆肥を年間500kg/10a程度、9月上旬と3月上旬の時期に分けて施用することで、3ヵ年の一番茶収量は慣行施肥と同等かそれ以上、荒茶品質は同等となり、有機配合肥料との代替が可能となる。また、石灰資材の施用も削減でき、一番茶収量の増加と併せて、収益面は有利となる。
 ペレット堆肥は肥料と同様に20kg袋で販売されていることから、従来の堆肥よりも運搬に優れ、既存の肥料散布機を使用できることから散布も容易である。
熊本県農業研究センター茶業研究所 25
大型ハンマーナイフモアを用いた省力的な茶園台切り更新法  高樹齢化した茶園は通常抜根改植を行って茶園を作り直すが、近年茶の価格低迷により改植を行いにくい情勢となっている。また、茶樹の樹勢回復対策として台切りがあるが、以前の方法は手作業で行うため、労力の負担が大きい。そこで、大型ハンマーナイフモアを使用することで10a当たり2時間で台切りを行うことが可能となり、また地上10cmの高さで更新することで再生株率は高くなる。一番茶摘採後に台切り更新し、翌年の6月に地上高45cmの高さで初回せん枝を行うことで、更新4年後には中切りを行った場合より多収となる。 熊本県農業研究センター球磨農業研究所 28
連続炒り葉装置及び釜炒り茶製造設備 炒り葉機は、経営面の合理性を考慮し、炒り葉処理能力120kg/hr以上を確保すると同時に、より細かな温度調整により、欠点のない炒り葉処理を可能とし、また、熱効率を高め、コンパクト且つ省エネ化している。
 水乾機・締炒機は、より細かな温度調整により欠点のない乾燥成型処理を可能とすると同時に、蒸し製玉緑茶の品質改善にも活用可能である。
佐賀県茶業試験場 31
緑茶の品質予測方法 製品緑茶の総合品質を簡便にかつ精度よく予測する方法 奈良県、国立大学法人大阪大学、他 34