技術【花き】

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新たな育種技術
技術名 技術の特徴 開発機関名 ページ
電子レンジとポリエチレン袋を用いた低コスト植物無菌培養システム  電子レンジとポリエチレン袋を用い、吊り下げて培養することにより、低コストで植物を無菌培養する方法を得る。
  市販の家庭用電子レンジにより滅菌した培地を、培養容器として市販のポリエチレン袋に分注し、植物体を植え付け後に密封して無菌的に培養することが可能である。また、吊り下げて培養することが可能であるため培養スペースを立体的に利用できることから頗る低コストで培養植物を得ることが可能となる。
福井県農業試験場 1
稔性抑制キク科植物の作製方法  キク科植物では、種間・属間での交雑が可能であり、これまでにも栽培ギクと野生ギクの雑種が確認されている。遺伝子組換えキクにおいては、導入した遺伝子の自然界への拡散を防止するため、稔性の抑制を行う必要がある。そこで、キクから配偶子形成に関わる減数分裂期相同組換え遺伝子を単離し、その遺伝子発現を抑制しうるRNAi配列に再構築し、キクに導入することで、キク開花温度帯10〜35℃において、安定して雄性不稔となるとともに雌性の稔性も低下する技術を開発した。 福井県農業試験場 2


低コスト生産技術
技術名 技術の特徴 開発機関名 ページ
カンパニュラ・メジュームの開花促進に効率的な長日処理方法 カンパニュラ・メジュームの無加温・施設栽培における開花促進における効率的な長日処理方法は以下のとおりである。                                1.長日処理時間は2時間(23:00〜1:00)の明期中断とする。
2.長日処理の打ち切り時期は定植直後から頂花発蕾期とする。
3.長日処理に使用する光源は、電球形蛍光灯を使用する。
4.これらの長日処理方法を組み合わせると、白熱灯4時間・採花期終了までの慣行の電照に比べ、電気料金等の経費を約40%削減できる。
福島県農業総合センター 3
春出し作型におけるトルコギキョウの暖房コスト低減に効果的な夜間変温管理方法 トルコギキョウの春出し作型における開花促進に効果的な短時間昇温方法は2月より18時から22時を20℃、22時から7時までを10℃、7時以降を15℃で管理する方法である。また、電気加温機を用いた場合、15℃一定管理に比べ消費電力が約40%削減できる。 福島県農業総合センター 4
夜間の低温を利用したリンドウの育苗方法 1 育苗初期(2.5対葉期)における低温処理により、苗の芽数と根部の乾物重が増加することを明らかにした。最も効果が高く、その後の生育に悪影響が少なかった処理条件は6℃×30日間だった。
2 育苗施設の夜間の最低気温を5℃に設定することにより、前述の低温処理と同等の芽数の増加効果および根部の乾物重の増加効果が得られる。
3 夜間低温管理による芽数の増加に伴い、地上部の乾物重を維持したまま苗の葉身のサイズを小さくすることができる。
4 夜温5℃設定への移行時期は2対葉期が適当であり、苗質の向上とともに夜間暖房費の節減が期待できる。
福島県農業総合センター 5
花きポットトレイ用定量施肥機 ・花壇苗生産において、土詰め後のポットトレイ上の複数の鉢に、連続的に肥効調節型肥料(被覆肥料)を定量施肥できる機械を開発した。
・開発機はコンベア一体型の機械で、用土を詰めたポットトレイが施肥部を通過する時にすじ状に肥料が散布される。
・処理能力は3.5号鉢で8,000鉢/h、3号鉢で9,120鉢/hで、施肥量は約1〜3g/鉢の範囲で調節できる。
・土詰めと施肥作業を一連で行った場合、施肥機での作業時間は5時間17分/万鉢で、慣行体系に比べ約40%低減できる。
群馬県農業技術センター 7
バラ株元加温による省エネルギー・高生産技術 バラのアーチング仕立ての株元に温湯パイプを設置し、その上に光合成枝を折り曲げ、温湯パイプ内に加温した水を循環させ株元を効率的に暖めるシステムです。
【特徴・効果】
・到花日数が3日程度短縮される。
・採花本数が2〜3割程度増加する。
・切り花長が10cm程度長くなる。
・採花本数当たりの使用A重油は、18℃株元加温なし(慣行)に比べ、15℃株元加温ありで約4割削減される。
神奈川県農業技術センター 8
切り花ハボタンの若苗定植法による切り花品質の改善と置床栽培による省力的生産  切り花ハボタンは、セルトレイ(200穴/枚)に20日間程度育苗し、根鉢が形成された苗を定植する方法が慣行であるが、慣行より若い苗で定植する方法が若苗定植である。
 若苗では根鉢が十分に形成されておらず,セル苗による定植作業が難しいが、口径2cm・高さ3cmのペーパーポット(406穴/枚)に10日間程度で育苗した若苗は、根鉢が形成される前でも用土が崩れず、容易に定植でき、小輪で切り花長の長い切り花が得られる。
 置床栽培、ペーパーポット苗を畦面に置くだけの定植法では、ペーパーポット(406穴/枚)に10日間程度育苗した若苗を置床することにより,セル育苗の定植と同等の切り花が得られ、また、定植時間を半分以下に削減することが可能になる。
石川県農林総合研究センター農業試験場 9
キクにおける赤色LEDの効率的利用技術の開発 キクの花芽分化抑制に効果的な色は赤色である(ピーク波長610〜640付近)。
そこで、赤色LED(ピーク波長634nm)による花芽分化抑制に必要な品種別の光強度を明らかにした。
光強度を明らかにした品種は、夏秋系輪ギク「精の一世」、「岩の白扇」、秋系輪ギク「神馬」、夏秋系スプレーギク「エース」、「ユキ」、秋系スプレーギク「レミダス」の6品種で、それぞれに必要な光強度は20 lx、35 lx、25 lx、15 lx、15 lx、20 lxおよび5 lxであった。
さらに、LEDの利点を生かした間欠電照にも取り組んだ。「精の一世」では通常夜間5時間暗期中断のところを、30分点灯−15分消灯の繰り返しで、「神馬」では通常4時間暗期中断のところを、15分点灯−15分消灯の繰り返しで、通常と同程度の花芽分化抑制効果が認められた。
愛知県農業総合試験場 12
トルコギキョウ冬出し栽培で品質の良い切り花を安定生産する省エネ温度管理 生育と開花が遅れることなく、ブラスチングの発生を軽減し、かつ重油消費量を慣行栽培(夜温15℃管理)より47%削減する栽培方法。

 温度管理を開花期まで夜間10℃加温と日中加温の組み合わせ、その後収穫までは夜間15℃加温で行うと、慣行の夜間15℃管理より燃油消費量を削減したうえで、品質の良い切り花を安定生産でき、さらに白熱電球を用いた電照で花芽分化促進とブラスチング軽減が図られる 。
熊本県農業研究センター農産園芸研究所 13
トルコギキョウ切り花栽培における冷風・排熱一体型の園芸用スポットエアコンの利用法 冷風・排熱一体型の園芸用スポットエアコンは、トルコギキョウ切り花の冷房育苗および冷房育苗施設としての利用が可能で、さらに開花期の除湿および補助暖房に利用でき、燃油消費量の削減に貢献する。 熊本県農業研究センター農産園芸研究所 16
冬春期開花作型におけるトルコギキョウの大苗定植は在圃期間を短縮する 冬春期開花作型は在圃期間が非常に長いことが大きな課題である。しかし,播種日を早めて抽苔を開始した大苗(本葉2節葉身長35mm程度)を定植することで慣行苗と比較して在圃日数を大幅に短縮できる。 広島県立総合技術研究所農業技術センター 19


日持ち性向上技術
技術名 技術の特徴 開発機関名 ページ
直売所等での切り花販売時に品質を保持しやすいバケット 農産物直売所やスーパー、ホームセンターなど、切り花花束を消費者が自由に選びとることができる販売方法では、従来の花用バケットを用いた場合、花束の茎部分が交差しやすく、結果丁寧に戻さなければ、花束が水から浮いた状態となったり、バケットから花が飛び出して、人と接触しやすくなることで、商品の傷みが生じやすい状況にあった。
今回開発した花束用のバケットは、
○底がすり鉢状
○角形で縦横比率が異なる
○内面に角や出っ張りがない
という形状であり、結果、
○花束切り口部分が中央に集まり、放射状に開くために茎が絡まない
○花束を片側に集めやすく、スペーシングしやすい
など、花束を繰り返し出し入れしても、納まりが良いため、花が傷みにくいという特徴を有している。また、内側に角がなく洗浄しやすいことで、雑菌の繁殖を抑えて生け水をきれいに保ちやすいという特徴を併せ持つ。
(地独)大阪府立環境農林水産総合研究所 21
つぼみ期収穫による切り花の特定日開花技術 切り花の需要は盆、正月、母の日などの物日に集中しやすく、農産物直売所などでは、曜日によっても需要量が大きく変わる。しかし設備の整った施設がない場合、想定した日どおりに切り花を開花させることは難しい。本技術は、
○切り花を収穫適期よりも硬めのつぼみ状態で収穫する
○屋内で開花液を用いて温度管理によって開花時期のコントロールを行う
ことにより、需要日当日にベストな状態の切り前を出荷できる技術であり、売り逃し、売れ残りを防いで収益性を高めることができる。
現在、つぼみ開花液はユリ、小ギク、ナデシコ、トルコギキョウ、バラの5品目で開発を終え、屋内開花調節と組み合わせた特定日開花技術はユリ、小ギクで技術普及段階にある。
(地独)大阪府立環境農林水産総合研究所 22


その他の技術
技術名 技術の特徴 開発機関名 ページ
コギク9月出荷における蛍光灯、LEDの開花抑制効果 コギクの9月出荷作型での露地電照栽培において、「常陸オータムホワイト」では光源に蛍光灯、LEDを使用しても白熱電球と同程度の開花抑制効果があるが、「常陸オータムレモン」では蛍光灯、LEDで開花抑制効果がやや劣る傾向がある。 茨城県農業総合センター園芸研究所 23
植木・盆栽類を安全に輸出するための線虫対策 土壌中に生息する線虫の耕種的防除として、根鉢土壌の水洗除去が効果的である。そこで、線虫の検出を限りなくゼロにするため、根鉢土壌を水洗除去後、ピートモスで鉢上げし、輸送に耐え得るまで根を再生させる技術を開発した。具体的には、樹種により水洗方法・水洗適期が異なることが明らかとなり、時期が遅れるほど活着は劣り再生する根量が少なくなることがわかった。なお、水洗後、ピートモス等の資材で鉢上げし、根が再生するまで遮光下で養生すると輸送に耐える株が育成でき、検疫上の問題も解決できる。 千葉県農林総合研究センター 26
蕾開花促進法を用いたカーネーションの出荷調節技術  一般のカーネーション生産では、母の日需要が終わると市場価格が下がることや次年度への改植の準備が始まることから、母の日までで切り花出荷は終了する。母の日用出荷に少し間に合わないカーネーションは年間出荷本数の14%程度に上る。
 本技術は、母の日用出荷に間に合いそうにないカーネーションだけを蕾段階で収穫し、処理液に生けて、温度と光環境を調節することで、通常より早く開花させ、母の日用出荷に間に合わせるものである.
 技術導入により、母の日用カーネーションの出荷本数を大幅に増加できる。
愛媛県農林水産研究所 28
蕾生育促進法を用いたシンテッポウユリの出荷調節技術  露地栽培のシンテッポウユリ生産では、収穫期が夏から秋になるため、台風や霜は多大な被害をもたらす。気象情報は正確に把握でき、被害に遭う前に一斉に収穫することは可能であるが、その場合未熟な蕾段階の切り花がほとんどを占めることになる。
 本技術は、蕾段階で収穫したシンテッポウユリを処理液に生けて、温度と光環境を調節することで、蕾の生育を促進し商品化するものである。
愛媛県農林水産研究所 29
輪キク品種「雪姫」「月姫」「秋華」「夏日和」の品種識別 本県育成4品種「雪姫」「月姫」「秋華」「夏日和」は、IRAP、REMAPマーカーを用いることにより、国内流通する主要な10品種に対して個別に識別できる。 福岡県農業総合試験場 30
高温期の夏秋ギク品種「精の一世」、「岩の白扇」の寒冷紗被覆による奇形花発生軽減対策 夏秋ギク品種「精の一世」、「岩の白扇」の高温環境下における栽培で、消灯後3週間の寒冷紗被覆(遮光率51%)によりハウス内気温の下温効果や奇形花(扁平花)の発生を軽減できる。 佐賀県農業試験研究センター 33
トルコギキョウ冬春期出荷作型における温度管理法 ・トルコギキョウの冬春期(1月〜3月)出荷作型では、高昼温低夜温管理(最低10℃、日中蒸込30℃換気)、あるいは、日没後短時間加温(最低10℃、日没後3時間18℃加温)により、切り花品質の低下と開花遅延を防止することができる。 佐賀県農業試験研究センター 34
キク生産者に向けた「キク電照栽培用光源選定・導入の手引き」 1 電照ギク栽培に必要な照度として最も一般的な基準は「白熱電球の50lx」とされるが,光源の種類等により必要な照度は変化する。「白熱電球の50lx」と同等の花芽分化抑制能力を示す照度は,光源の分光放射照度データから換算可能である。

2 以上の点をはじめ,キク電照栽培用光源の特性や普及状況,導入の際に留意すべき点,異なる光源の花芽分化抑制能力比較方法等について解説した「キク電照栽培用光源選定・導入のてびき」を作成した。
鹿児島県農業開発総合センター 35
スターチス・シヌアータの茎葉黄化対策技術 ・ポストハーベスト実態調査を行い、選花場や集荷場の環境改善を提案した。
・温度と黄化程度の関係を精査し、商品性限界に至る温度条件を明らかにするとともに、輸送試験によりその妥当性を実証した。
・品種のスクリーニングにより主要品種の黄化の難易を評価した。また、採花の遅れが黄化を助長することを明らかにした。
(地独)北海道立総合研究機構 花・野菜技術センター 36
湿地性白色カラーの品種識別用SSR マーカー 1.「熊本FC02」DNA 内に存在するSSR を探索し、その前後の塩基配列情報から9 種類の湿地性白色カラーの品種識別用SSR マーカーを開発した。
2.ある品種について、これら9 種類のマーカーのバンドパターンを調べ、1 種類のマーカーのバンドパターンが他の品種のバンドパターンと比較して特異的であれば、そのマーカーがこの品種の識別マーカーとなる。1 種類のマーカーで特異的でなかった場合は、2 種類以上の各マーカーの組合せで特異的があれば、それらのマーカーがこの品種の識別マーカーとなる。
3.マイクロチップ電気泳動では、「熊本FC01」「熊本FC02」「チルドシアナ」「ウェディングマーチ」「ホワイトゴッテス」「アクアホワイト」「白雪式部」の7 品種間でAC-09C 以外の8 種類のマーカーについて識別が可能である。
4.アガロース電気泳動では、前述の7 品種間でAC-09C とGA-01B 以外の7 種類のマーカーについて識別が可能である。
5.9 種類のマーカーのうちAC-09C は、前述の7 品種ともすべて同じバンドパターンであるが、これ以外の品種を識別する際に識別マーカーとなる可能性がある。
熊本県農業研究センター 40
キクにおける花芽分化抑制効果の高い電照時間帯 1 キクの花芽分化抑制効果の高い電照時間帯は、暗期開始からの経過時間が関与している。秋ギクは日の入りから8〜10時間後、夏秋ギクは7〜9時間後が最も花芽分化抑制効果が高い。
2 これまで、キクの花芽分化抑制に効果が高い電照時間帯は暗期の中心と考えられてきたが,必ずしもそうとは言えない事例もあった。本成果はそれを裏付けるものである。
鹿児島県農業開発総合センター 43
圃場診断に基づくチューリップ土壌伝染性ウイルス病害の効果的な防除法の確立 ・チューリップ土壌伝染性ウイルス病害(微斑モザイク病・条斑病)は難防除であり、現状では農家の勘と経験に頼った防除となっている。
・科学的根拠に基づいた適正な防除とするため、土壌中の植物ウイルス量を定量する技術を開発した。これを用いることにより、チューリップ土壌伝染性ウイルス病害の圃場ごとの発病リスクを推定し、そのリスクレベルに応じた効果的な対策をとることができる。
富山県農林水産総合技術センター 46