添付ファイル: 【技術】果樹(PDF:9.55MB)(品目の一覧と個々のデータがご覧いただけます)
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技術名 | 技術の特徴 | 開発機関名 | ページ |
ブドウの施設栽培でのLEDランプの利用による品質向上 | 無加温ハウス下のポット植栽ブドウ樹を供試して、夜間(日没後3時間および夜明け前3時間)に青色光LEDの照射を行った。LEDの照射期間は満開後25日以降収穫日までとした。ハウス内の温度は露地に比べ1度程度上昇した。青色LED光の照射は、無処理に比較して有意にブドウ果皮のアントシアニン合成を促進し、さらにブドウ糖、ショ糖、果糖など糖濃度の上昇を促進した。LED照射による果実品質への影響としては、ブドウの場合、特に植物ホルモン:アブシシン酸との関連が考えられたが、本研究では青色LED光の果実への影響としては、青色波長のアントシアニン合成関連遺伝子への直接的な影響が強いと推察された。赤色光LEDの照射も糖濃度の上昇を促進したが、着色については青色光に比較し、その影響は小さかった。 | 千葉大学 | 1 |
作業性の良いモモ低樹高開張型樹形 | モモの低樹高開張型樹形は、添え竹や吊り支柱の利用により骨格枝を開張することで低樹高に整枝した樹形である。当樹形は慣行樹と同等の品質と収量が見込まれ、作業性が良く労働負担の軽減が図られる。 1 低樹高開張型樹形は主枝角度を30度前後に開張することにより、樹高3.5m以下の低樹高に維持することができる。 2 樹を開張することで樹冠占有面積の拡大が早く、早期多収性がある。また、病害虫防除の面からは薬液の到達性が高く、防除効果の向上が期待できる。 3 骨格枝を開張することによって高さ1.5〜3.0mに多くの側枝を配置することが可能になり、作業時間の削減など作業性の向上が図られる。 | 福島県農業総合センター | 2 |
新病害「モモ果実赤点病」の発生生態と防除対策 | モモ果実赤点病は、本県および和歌山県で発生が確認されている新病害である。被害果は商品性を著しく低下させるため、早急に防除対策が必要なことから、発生生態の解明や有効な薬剤の選抜を行ってきた。その結果、防除対策として果実への感染が多い6月下旬〜7月中旬にダコレート水和剤1,000倍またはベルクート水和剤1,000倍を散布することが有効であることが明らかとなった。 1 本病は、Ellisembia sp.による病害であることが明らかとなり、これまでウメシロカイガラムシの加害症状と誤認されてきたが、吸汁痕がないので識別できる。生育適温は25℃〜30℃、生育温度は10℃〜35℃である。 3 伝染源は枝に形成された分生胞子であり、分生胞子は6月上旬〜9月上旬まで飛散し、捕捉数は降雨後に多くなる傾向を示した。 4 果実への感染は6〜7月の梅雨期に多いことから、6月下旬〜7月中旬にダコレート水和剤1,000倍またはベルクート水和剤1,000倍を散布したところ、いずれも防除効果が認められた。 | 福島県農業総合センター | 5 |
リンゴ「ふじ」の省力密植栽培に適した不織布ポット栽培 | 1 不織布ポットの容量が小さいほど樹高や樹幅が小さく抑えられる傾向があり、作業の面から望ましい樹高を3.5m程度とすると、JM7台の15リットルポット栽培がこの条件を満たす。 2 JM7台利用樹では、ポット容量が異なっても果実品質には有意な差は認められない。 3 JM7台の15リットルポット栽培では樹体がコンパクトに押さえられ、日当たりも良好であることから、花芽分化率が高い。 4 JM7台の15リットルポット栽培は、作業性が良く、10a当たりの作業時間が少ない。 5 JM7台相当のわい性台木を使用した低容量のポット栽培樹は、植栽距離4.5×2.5mの密植条件でも樹が植栽距離内に無理なく収められ、早期多収を可能とするリンゴの密植栽培に有効な栽培方法である。 | 福島県農業総合センター | 8 |
ブドウ「シャインマスカット」の果粒肥大を促進させる生育条件・管理方法 | ブドウ「シャインマスカット」は、着房位置の葉が大きく、開花期の副梢葉枚数が多い新梢や、新梢先端側の花穂に優先して着果させると果粒肥大が良い。 開花期の副梢葉枚数が中程度(7枚)以上の新梢では、摘心後発生する副副梢を適宜摘除すると果粒重が大きくなる。 | 茨城県農業総合センター園芸研究所 | 11 |
QoI剤耐性ブドウべと病菌発生圃場における効果的な防除体系 | QoI剤(ミトコンドリア電子伝達系のチトクロームbc1複合体のQo部位に作用する薬剤)耐性ブドウべと病菌が発生する圃場では、QoI剤の防除効果は低く、CAA剤(カルボン酸アミド)等の防除効果が高い。 CAA剤やキャプタン水和剤等を導入し、QoI剤の使用回数を削減した防除体系は、べと病に対して高い防除効果が認められる。 | 茨城県農業総合センター園芸研究所 | 14 |
ニホンナシの盛土式根圏制御栽培法 | ・ この盛土式根域制限栽培法(以下、根圏制御栽培)は、遮根シートにより地面と隔離した培土量150 Lの盛土に苗を植付け、樹齢、生育時期別に測定した吸水量に基づき、樹の成長に合わせて設定した灌水を行うことができる。 ・ 培地を盛土にすることで滞水による湿害の発生がなく、培土量、灌水量および施肥量などにより樹勢を制御することができる。 ・ この方法により、植付け2年目に2t/10a、4年目以降慣行の2倍の6t/10aと早期多収に加え、超多収が可能となる。また、品質(糖度)も慣行よりも高い。 ・ 給水方法を点滴灌水の他、底面給水法とすることで、灌水関係経費の削減が図られ低コストでの導入が可能である。 ・ 移植による未収益期間が短く、早期に高所得が得られることから、農家経営改善効果の高い栽培方法である。 | 栃木県農業試験場 | 17 |
早期多収で省力化が可能なスモモの樹体ジョイント仕立て栽培 | スモモの樹体ジョイント仕立て栽培は、優良側枝が確保できるため慣行の二本主枝栽培と比べ約1.5倍の増収となり、早期多収が可能である。また、側枝を一定方向に配置するため樹形が直線的となり、人工受粉やせん定等の管理作業時間を慣行の二本主枝栽培より27%短縮できる。 | 群馬県農業技術センター | 19 |
樹木の樹体ジョイント仕立て | 主枝を片側一方方向へ延長し、先端部を隣接樹の主幹肩部へ接ぎ木により連結し、複数樹を直線状の集合樹に仕立てる技術。 【特徴】 @樹勢の均一化が得られる。 A早期成園化が図れる。 B整枝・剪定作業の省力化が図れる。 | 神奈川県農業技術センター | 20 |
ブドウ「シャインマスカット」の専用カラーチャートの開発 | 収穫期前後の「シャインマスカット」の果粒写真を画像ソフトに取り込み、果皮の平均色を求め、濃緑色〜黄緑色の5段階にした「シャインマスカット」専用のカラーチャートを開発した。 「シャインマスカット」の果粒はカラーチャート値が大きくなるにしたがって糖度が高くなり、カラーチャート値3以上になると県の収穫基準である18 Brixを越える。 「シャインマスカット」の果粒はカラーチャート値が大きくなるにしたがって「かすり症」の発生度が高まる傾向にあるので、カラーチャート値3以上になったら順次収穫する。 | 山梨県果樹試験場 | 21 |
モモ、スモモ、オウトウの貯蔵花粉の発芽率を向上させる順化方法 | モモ、スモモ、オウトウの貯蔵花粉を温度4〜20℃、湿度90%の多湿条件下で2時間程度順化させることで、室内で前日から順化させる慣行の方法に比べて、高い発芽率が得られる。多湿条件で順化した花粉を用いて人工受粉すると結実が向上する。 ・多湿条件:クーラーボックスなどの密封容器内に濡らしたタオルなどを入れる。 ・吸湿のムラを防ぐため、十分な容量の容器を使用、花粉は少量ずつ小分けに順化。 ・保存が利かないので、一度に使用するだけの花粉をその都度順化する。 | 山梨県果樹試験場 | 22 |
チャノキイロアザミウマによる「ロザリオビアンコ」の「かすり症」類似被害の識別と抑制 | ・「ロザリオビアンコ」は、成熟期にチャノキイロアザミウマに果粒表面を加害されると「かすり症」に類似した被害が発生する。 ・被害果粒の表面を観察すると、チャノキイロアザミウマの被害では吸汁された細胞がモザイク状に見られる。「かすり症」では微小な亀裂が見られる。被害は、100倍以上の顕微鏡等で識別できる。 ・除袋直前まで防除を行い、本種の発生を抑制することにより、果粒および穂軸の被害を抑制できる。 | 山梨県果樹試験場 | 23 |
りんご「ふじ」単植園における受粉専用品種の混植方法 | ・「ふじ」単植園に受粉樹として導入した受粉専用品種「メイポール」の花粉は、訪花昆虫により40m程度離れた場所まで伝播されるが、その量は10m程度までに急激に減少する。 ・「ふじ」単植園において、受粉樹として受粉専用品種を15〜20m程度の間隔(受粉樹からの最大距離7.5〜10m)で植栽すると、頂芽中心果80%程度以上の結実が確保される。これは花芽着生率(開花率)を60%とした場合、概ね2頂芽に1果の割合で中心果が結実していることになり、最終的な着果量の2倍程度の中心果が確保できることになる。 ・「メイポール」のえき芽花満開期は「ふじ」の開花始期とほぼ同時期である。「ふじ」の満開期にかけて開花期間が重複する。 | 長野県果樹試験場 | 24 |
りんご・なし・ももの交信攪乱剤によるシンクイムシ類、ハマキムシ類等の防除 | 交信攪乱剤は殺虫効果がなく、交尾を阻害し次世代の増殖を抑制する効果がある。設置園では、交信攪乱対象害虫に対する殺虫剤の散布回数削減が可能である。ただし、ほ場内やほ場近隣の対象害虫の発生源をよく確認して、取り組み前に薬剤散布等で密度を減らしておく。また、設置初年目から殺虫剤を削減せず、ほ場内の対象害虫の発生がなくなったことを確認してから殺虫剤の削減に取り組む。 | 長野県果樹試験場 | 25 |
りんごの新わい化栽培 | リンゴ新わい化栽培はこれまでのわい化栽培と比べ後述のような特徴を持ち、地上から70%の果実が収穫できることを主な目標とする。 (1)M.9ナガノ台木を台木法で利用し、切返し、芽かき、ビーエー液剤散布処理で養成された2年生苗木を利用すること。 (2)列間3.5〜4m、樹間1.25〜2mの並木植えで、10a当たり栽植本数は125〜200樹とすること。 (3)仕立て法は従来と同様の細型紡すい形で、側枝は水平に誘引して、花芽の着生を促すなどにより、樹高は3m程度、結実部位の高さは2.5m程度で、樹幅は1.5〜2m程度となる。従来の矮化栽培と比べ小型樹を長期にわたり維持できる。 主要数品種の4?2m植えでの定植8年後までの収量について、定植2年目で多くの品種で2〜3kg/樹の初期収量があり、定植7年目で最大収量となった。10aあたり収量は「ふじ」が約6.6tと最も高く、「秋映」は3.2tとやや低かった、「シナノゴールド」「シナノスイート」はいずれも約3.9tであった。 | 長野県果樹試験場 | 26 |
リンゴの2年生フェザー苗の生産方法 | りんごのわい化栽培の開園にあたっては、側枝(フェザーと呼ばれている)を有する2年生苗木の利用価値が高い。この2年生苗木の育成ほ手法は、(1)1年間育成して圃場に植えたままの状態の1年生苗木に対し、発芽前までに接木部から約40cm程度の高さで切り戻しを行う。(2)展葉を過ぎた頃、頂端付近の旺盛な新梢を1本残して芽かきを行う。(3)1本の新梢が20cm程度に伸長した頃、新梢全体にビーエー液剤を散布する。(4)以後概ね10日間隔で新たに伸長した新梢の先端から15cm程度までの部分にビーエー液剤を散布する。というものである。また、密植度の高い栽培に適する2年生わい性台木苗木とは、主に側枝本数で評価し、長さ5cm以上50cm未満の側枝本数が概ね10本以上であることを目標にする。 | 長野県果樹試験場 | 27 |
水稲育苗ハウスを利用したぶどうのアーチ栽培技術 | 遊休期間が長く有効活用が求められていた水稲育苗ハウスを利用して、収益性の高いぶどう栽培が可能である。 アーチ栽培は、育苗ハウスアーチに沿ってぶどう主枝を誘引する短梢せん定無核栽培をベースにしたコンパクトな樹形で、新規にはじめる人でも高度なせん定技術を必要としない。開園費用は苗木を含めて約7万円/aで、ハウス資材や針金を利用しての自家施工も可能である。 「シャインマスカット」の場合、植栽2年目で収穫が始まり、3年で樹形が完成して開園費用が回収できるようになる。また、4年目からは成園化が可能で、150〜200kg/aの収穫量が見込める。 年間の労働時間は、24.2h/aで水稲の主要作業時期との競合は少ない。水稲育苗は、通常どおり行うことができる。 | 新潟県農業総合研究所 | 28 |
日本ナシの降雨後の溶液受粉による着果安定 | 開花期に降雨が続き花が濡れていると、ぼん天や市販の受粉器による受粉ができなくなるが、「溶液受粉」は、降雨が続いても、数時間の晴れ間があれば、花が多少濡れた状態でも受粉可能で、40%程度の着果率が確保できる。種子数は、慣行(ぼん天受粉)に比べ、低下するが、1果重に大きな差は見られない。 また、従来の「溶液受粉」では、受粉器としてハンドスプレーを用いているが、ぼん天の先端部をスポンジに変えることで、手の疲労を減らすことができる。 | 石川県農林総合研究センター農業試験場 | 30 |
「幸水」の二本主枝垣根仕立てによる早期成園化技術 | 1 二本主枝垣根仕立ては、二本主枝仕立てを基本に棚下の主幹部分から左右合計6本の側枝(棚下側枝)を配した樹形である。遮根シートの上に堆肥等で土壌改良した用土600 リットルの高うねに2年生の大苗を定植する。 2 この栽培法は、定植2年目(4年生樹)から棚下側枝が結実し始め、定植4年目(6年生樹)には成園並みの3t/10a 以上の収量が得られる。初期収量(4〜6年生樹)は同じ樹齢の慣行栽培に比べ2倍以上の収量で、また成園並みの収量に達する樹齢は慣行栽培に比べ3年早い。 ※概要 ・植栽本数は10a当たり80本(列間5m×樹間2.5m) ・高うねの大きさは1樹当たり幅80cm、長さ2.5m、高さ30cm ・棚下側枝を配置するため、棚下に3本の補助線を高さ70cm、100cm、130cmに設置 ・養液は高うねに設置した点滴灌水チューブにより供給。窒素濃度50〜100ppmで日給液量は15〜40L/樹を時期に応じて供給 | 石川県農林総合研究センター農業試験場 | 32 |
クリの大果生産のための徒長枝の摘心処理時期の解明 | ・8月下旬に未展開葉部分を摘心処理することで、二次伸長を防ぐことができ、翌年の徒長枝1本当たりの着毬数および収量が増加し、大果率も高まる。 ・摘心処理により徒長枝長が短くなり、風害による折損被害が軽減できる。 | 石川県農林総合研究センター農業試験場 | 34 |
イチジクにおける主枝更新剪定(リフレッシュ剪定) | 樹の骨格となる主枝を毎年新しく入れ替え、イチジクの樹を常に若い状態に保つことができる新しい剪定法を開発した。 具体的には、4 本程度の1年枝(前年の結果枝)と、これを支える枝だけを残し、他の枝を全て切除する。残した1年枝は適度な角度に曲げ、翌年の結果母枝と主枝を兼ねた枝として活用する。この作業を毎冬行うことによって、通常は半永久的に残る主枝を毎年更新することができる。 | 大阪府立環境農林水産総合研究所 | 36 |
柿苗の周年生産方法および苗 | ポット等や施設を利用し、従来2年かかっていたカキ苗を1年以内で生産できる技術 | 奈良県農業総合センター | 37 |
早生ウンシュウミカンの新しい灌水指標にもとづくWeb灌水情報 | @5カ年の現地調査結果から高品質M級果実理想生育モデルと生育ステージ区分を導き出し、各ステージ毎のLWP適範囲(日没直後)を設定した。 A基準園(3園)の土壌体積含水率をTDRセンサーで連続的に計測し、前述のLWP適範囲に対応する土壌体積含水率域をステージ別に導くとともに、適水分域の下限に達した際、上限に復帰させる為に必要な灌水量を算出した。 B気象台観測値をパラメータとして算出できる蒸発散位と、TDRセンサーで計測する土壌体積含水率現況値をもとに、現況値測定日以降の土壌水分消費ペースを予測した。 CWeb上(※)には土壌体積含水率の現況、および望ましい水分域を基準園別に示すとともに、適水分域の下限に到達すると予測される日を「次の灌水日」、適水分域の上限に復帰させるのに必要な灌水量を「1回当たり灌水量」、その後も晴天が続くという仮定で再び下限に到達し、再灌水が必要となるまでの日数を「間断日数」として明示した。なお、閲覧者は各々の条件に近い基準園の情報を参考にできる仕組みとした。 ※和歌山県果樹試験場ホームページ(http://www.pref.wakayama.lg.jp/prefg/070109/gaiyou/002/002.htm)あるいは、有田みかんデータベース(http://www.mikan.gr.jp/)からアクセス。 | 和歌山県果樹試験場 | 38 |
簡易キットの利用によるカンキツウイルス病の簡易診断 | カンキツの主要なウイルス病である温州萎縮病(SDV)と接ぎ木部異常病(ASGV)を個別にまたは同時に、約15分間で診断できる。 | 福岡県農業総合試験場 | 40 |
ナシの大苗育苗を利用した根底制限栽培による早期成園化 | ○大苗育苗方法 ナシの大苗育苗は、不織布製ポット(25?)にピートモス等を混和した土壌を利用しそこに植え付け、一年間育成する方法です。 ・ポットへの苗木の定植、設置 ポットの大きさに合わせて深さ30 pほどの溝を掘り、ポットを並べ、植え付けます。 植付け後は必ずかん水を行って、麦ワラを敷き、支柱を立てておきます。この苗を1年間育苗することで細根が多い2年生の大苗を育成します。 ○根底制限栽培 根を水平方向に動きやすく誘導するため、透水性の防根シートを使った根底制限を行う方法です。 @ 直径1m、深さ30 pの植え穴を掘り、透水性の防根シートを敷きます。 A ポット育苗した苗をシートの上に乗せ、植え付けます。 B 植え付け土壌はピートモス、石灰、よう燐を混和したものを利用します。 C 植え付け後は必ずかん水を実施し、麦ワラをのせておきます。 このように大苗を利用した根底制限栽培を行うことで、生育が促進され、結実までの期間を2年程度短縮し、早期成園化を行うことができます。 | 佐賀県果樹試験場 | 45 |
隔年交互結実栽培技術を活用した「清見」の完熟栽培 | 「清見」はを4月まで樹上完熟させることで、糖度が高い高品質な果実を生産することができるが、隔年結果により生産が不安定となる。そこで、温州みかんで実践されている隔年交互結実栽培を活用し、人為的に生産樹、遊休樹をつくり、毎年交互に生産させることで、高品質な果実の安定生産が可能となる。 | 佐賀県果樹試験場 | 50 |
ハウスミカン園で発生する‘にせ黄斑病’に対する防除対策 | 春芽利用型ハウスミカン園では,展葉中期(発芽20日後)以降に1〜2回無機銅剤を散布することで‘にせ黄斑病’の発生を抑制できる。夏芽利用型ハウスでも新梢伸長期に銅剤が散布されている場合には発病が少ない。 新梢伸長期にボルドー液を使用する場合,石灰による葉やけや穿孔等の薬害の発生を防ぐためにパラフィン系展着剤(アビオンE)を1,000倍で加用する。 夏芽利用型ハウスでは,銅剤との近接散布でビーエー液剤の効果が低下するので,銅剤散布からビーエー液剤散布までの間隔を最低60日以上確保する。 | 佐賀県上場営農センター | 52 |
カンキツのチャノキイロアザミウマ発生予察の精度向上 | チャノキイロアザミウマの適期防除のためには発生予察が有効であり、既に静岡県など主要カンキツ産地の県によって有効積算温度を利用した世代別の発生ピークを予測するシステム(JPP-NET有効積算温度シミュレーション)が構築されている。しかし、そのシステムを本県で利用するためには、現地での有効性を確認する必要があったため、チャノキイロアザミウマの発生消長と有効積算温度に基づく予測との適合性を調べ、それらのデータの活用法を明らかにした。 ○研究の成果 有効積算温度によってチャノキイロアザミウマの発生ピークを予測し、約5日間隔の黄色粘着トラップ調査で発生量と発生ピークを確認することで、効率的かつ精度の高い発生予察が可能となり、防除適期の目安として活用できる。 ○普及上の留意点 ・有効積算温度の算出に利用する気象データをアメダスから入手する場合には、調査園地とそこから最寄りのアメダス地点の標高を考慮し、標高補正(0.55℃× (アメダス地点の標高(m)−調査園地の標高(m)) /100)を行う必要がある。 ・各世代の発生ピークがチャノキイロアザミウマの要防除水準(2.5頭/日/トラップ片面 黄色粘着トラップの面積は20cm×10cm)以上に達した場合に防除を実施する。 | 熊本県農業研究センター果樹研究所 | 53 |
性フェロモンを用いた交信かく乱によるヒメボクトウ被害の低減技術 | ヒメボクトウ幼虫がリンゴ、ナシなど果樹の枝幹に穿入・食害する被害が、東北地方、北関東地方、長野県、三重県、徳島県などで大きな問題になっている。幼虫が樹体内に潜るため、従来の防除法では防除効果が薄かったが、交信かく乱により成虫の交尾を阻害することにより、次世代密度を低減させることが可能になった。 | 千葉大学 | 56 |
ぶどう「ナガノパープル」の強樹勢樹に対する環状はく処理 | 短梢せん定栽培のぶどう「ナガノパープル」において、満開時新梢基部径(第4〜5節間の最大径)が10mmを越える強樹勢樹で、前年の果てい部着色が赤紫色に達しなかった樹に対して、環状はく皮処理を実施すると、果実品質が向上する。 処理方法は次に示すとおりである。 (1)対象:強樹勢の「ナガノパープル」(短梢せん定栽培)。 (2)時期:満開30〜35日後頃。 (3)位置:主幹部。地面から100〜150cmの高さ。 (4)方法: @太めのマーキングペン等を用い、主幹に幅5mmで印をつける。 Aつけた印に沿い、師部組織に達する程度に鋭利なナイフ等で切り込みを入れ、内側の薄皮部分まできれいに除去する。 Bはく皮後に、処理部が乾燥しないようにテープ等で保護する。 C処理後30日程度経過し、処理部がゆ合組織で覆われ次第、テープを除去する。 | 長野県果樹試験場 | 57 |
ウンシュウミカンの主幹形栽培 | ウンシュウミカンにおいて主枝1本仕立てとすることにより,開心自然形に比べ樹形が単純なため,作業時間,作業強度が低減する。 定植後3年で成園化する。 樹幅が1.5m程度とコンパクトなため,傾斜地のテラス園でも,作業通路が確保できる。 | 広島県立総合技術研究所農業技術センター | 59 |
モモのジョイント仕立て栽培 | ナシで開発されたジョイント仕立て栽培をモモに適用した。 従来の仕立て法と比較し摘蕾、摘果・袋かけ、収穫の作業時間では短縮効果が認められる。 脚立を使う必要がなくなり,すべての作業で作業強度が低下する。 定植後3年で成園化する。 | 広島県立総合技術研究所農業技術センター | 61 |
晩霜害対策技術 | 早春、果樹類の開花時は低温に対する耐性が弱く、晩霜に遭遇する機会が多い。 このため、晩霜害回避のために、多目的防災網、防霜ファン、燃焼資材の組合せによる防霜対策技術を確立した。 | 栃木県農業試験場 | 64 |
各種袋・カサ資材利用によるブドウ「シャインマスカット」の果皮黄化抑制および「かすり症」発生軽減 | ブドウ「シャインマスカット」の袋かけにおいて、緑色もしくは青色袋を使用すると、慣行の白色袋と比較して果皮色の黄化を抑制する。また、カサかけにおいても、緑色もしくは不織布製カサを使用すると、慣行の乳白カサと比較して果皮色の黄化を抑制する。 袋管理とカサ管理を、慣行の白色資材で比較すると、袋で「かすり症」の発生および果面のこすれが少なくなり外観が優れる。一方、カサでは糖度の上昇がやや早まり早熟傾向となる | 山梨県果樹試験場 | 65 |
白色シートのマルチ処理による垣根仕立て赤ワイン用ブドウの熟期前進 | 色シートのマルチ処理により、「カベルネ・ソーヴィニヨン」では糖度の上昇、酸含量の低下、およびpHの上昇が早くなり、1〜2週間熟期が前進する。同様に「メルロ」でも1週間程度熟期が前進する。 白色シートをマルチ処理した場合、「カベルネ・ソーヴィニヨン」では約2週間、「メルロ」では約1週間早く収穫しても、糖度、pHは同程度である。 白色シートをマルチ処理した場合、「カベルネ・ソーヴィニヨン」および「メルロ」とも同程度の収量であればアントシアニン含量は増加する。 | 山梨県果樹試験場 | 66 |
受粉する時間帯の違いがスモモ、オウトウの結実に及ぼす影響 | スモモでは、年次変動はあるものの、受粉する時間帯により結実率に大きな差はみられないため、どの時間帯の受粉も結実確保が可能であることから、日中に受粉ができない場合や受粉作業が遅れている場合等に活用する。 一方、オウトウでは受粉する時間帯により結実率が異なり、10〜14時の受粉で良好な結実が得られるが、早朝や夕方の受粉では結実率が低下する。オウトウでは、従来どおり気温が高い日の10〜14時を中心とした受粉が効果的である。 | 山梨県果樹試験場 | 67 |
ブドウの害虫クビアカスカシバの防除体系 | クビアカスカシバの幼虫に対して、パダンSG 水溶剤は高い殺虫活性を示し、食入防止効果は散布後30 日程度認められる。成虫発生の初期(6月上〜中旬)と中期(7月上〜中旬)の薬剤散布により、高い防除効果が得られる。 | 山梨県果樹試験場 | 68 |
50℃の温水点滴処理によるリンゴ紫紋羽病防除 | 50℃の温水点滴処理により地温を35℃で6時間程度維持することで、リンゴ紫紋羽病菌を防除できる。温水点滴処理の基本条件や手順の概略は下記のとおりである。 1 温水点滴処理の基本条件 ・50℃の温水を使用する。 ・点滴チューブを用いて温水を土壌表面に点滴する。 ・処理終了の目安は、深さ10cmおよび30cmの地温を各3ヵ所で測定し、@深さ30cmの地温が3ヵ所とも35℃を超えたとき、あるいはA深さ10cmの地温が45℃を1ヵ所でも超えたときのいずれかとする。 2 処理時期 ・地温の高い6〜10月が望ましい。 3 処理範囲 ・処理樹を中心とした1.5m〜2m四方の範囲 4 点滴チューブおよび配置方法 ・市販の潅水用点滴チューブ(圧力補正付、ドリッパー間隔20cm、吐出量2.3L/時/ドリッパータイプのもの)を使用し、チューブ間隔は20cmで処理樹を中心に設置する。点滴チューブを格子型に組んだ市販の点滴器具(EB-1000T、エムケー精工株式会社)を用いるか、処理樹を中心に螺旋状または櫛形に点滴チューブを配置する。 5 処理機器 ・既存の熱水処理機や家庭用小型ボイラーを利用した熱水処理機、あるいは市販の温水処理機(EB-1000H、エムケー精工株式会社)を用いる。 | 長野県果樹試験場 | 69 |
ナシ病害防除支援情報システム「梨病害防除ナビゲーション」の開発 | 「梨病害防除ナビゲーション」はMicrosoft Excel 2003 等で稼働し、ナシ開花日(始期)、ナシ黒星病感染危険度、農薬散布日及び散布農薬を入力設定すると、病害防除支援チャートとして、防除要否を判断するために必要なナシ生育期の黒星病菌胞子の飛散状況、潜伏期間後の予測発病度、幼果の高感受性期間、農薬の残効期間等の情報をパソコン上に示す。 | 千葉県農林総合研究センター | 71 |
技術名 | 技術の特徴 | 開発機関名 | ページ |
果実蜜の製造法 | 果実から、果汁を精製・濃縮することにより、蜂蜜状の食品素材を開発した。 果汁を精製し、低温(40℃)条件下でBrix値を75〜80まで減圧濃縮することにより、粘度が7〜9Pa・Sの透明性があり、果実フレーバーの残る蜂蜜様食品(「果実蜜」)となる。 「果実蜜」は原料果実の成分を反映し、グルコース、フルクトース、スクロース及びソルビトール等の糖やクエン酸、リンゴ酸及び酒石酸等の有機酸、カリウムを多く含む。 | 福島県農業総合センター | 74 |
ウメ乳酸発酵飲食品およびその製造方法 | ウメ果汁またはウメ果実を含む組成物がpH3未満の範囲で、耐酸性を有しウメ果実の 発酵に適した乳酸菌であるLactobacillus sp.FPL2(NITE P−692)、該乳酸菌含有物、その処理物の少なくともひとつを含有してなること、を特徴とする飲食品。 | 福井県農業試験場 | 76 |
白干梅整列板の開発 | 塩漬け加工したウメを天日干しする際に、新たに開発した整列板を用いることにより、従来の手並べ方法に比べて作業が省力的で、果実品質の向上を図ることができる。 整列板はセイロの形に合わせた58p×58cm、厚さ12mmの合板で、果実サイズL〜3Lの直径の穴をそれぞれ144〜225個配置し、FRP塗装を施したもの。 整列板をセイロの内側にはめ込み、その上から塩漬け加工した果実を投入し、水洗いしながらセイロ全体に果実を広げ、各穴に1個ずつ果実を配置する。そのまま干し場へ運搬し、慎重に整列板をセイロから引きぬく。 | 福井県農業試験場 | 77 |
柿タンニンの高速抽出方法 | 「柿渋」として流通している柿タンニンは、従来その製造に3年以上必要だったが、この技術は、その製造期間を約2週間に短縮し、臭いの少ない扱いやすいタンニンが得られる。また、果実の状態を選ばず、あらゆる果実から抽出が可能になる。 | 奈良県農業総合センター | 78 |
ブドウ穂軸への水分補給による鮮度保持技術 | 収穫後のブドウ穂軸にバイアル容器を利用して水分を補給する鮮度保持技術を開発した。この技術によって果実の脱粒や穂軸の褐変を抑制し、出荷輸送中の鮮度を保つことができる。 | 岡山県農林水産総合センター農業研究所 | 79 |
長距離トラック輸送を可能にするイチジクの光殺菌技術 | 収穫後のイチジクに赤外線30秒、紫外線30秒を連続的に照射すると果実表面付着菌数を減少させ、輸送中のカビ果発生を抑制できる。果実品質に影響は無い。 この方法で福岡から東京へイチジクをトラック輸送する場合、着荷時の果実品質が良好に保たれるため、航空便と同等の商品性が保たれる。 | 福岡県農業総合試験場 | 80 |
カンキツの高温処理による減酸・着色促進技術 | カンキツにおいて収穫時に着色が不良な場合や酸度が高い場合に、果実を収穫直後に、高湿度(100%)条件下で高温処理(35℃、3日間)することで一度に大量の果実の着色と減酸を促進することができる。 | 佐賀県果樹試験場 | 83 |
カンキツ「不知火」果実のMA包装資材活用による長期貯蔵技術 | カンキツ「不知火」は、全国的な生産増大に伴い、3〜4月に出荷量が集中し、価格が低下している。そのため、出荷量を平準化し、価格の維持・向上を目的として、出荷期間を7月まで延長可能な長期貯蔵方法を明らかにした。 1.カンキツ「不知火」のMA包装資材を活用した長期貯蔵での減酸の推移を明らかにし、7月に出荷するための指標を明らかにした。 2.「不知火」果実では、1月中旬の収穫時、または3月上旬の MA個装時のクエン酸濃度がわかれば、MA個装果実の貯蔵後のクエン酸濃度が推定できるため、長期貯蔵して出荷するための指標にできる。 3.3月下旬に収穫・予措した果実をMA個装し、貯蔵温度8℃、12℃、16℃、20℃および常温で検討した結果、12℃が果皮色および果肉色ともに最も優れ、食味が良好で、貯蔵性においても12℃で貯蔵した果実は、腐敗果の発生がほとんど見られず、こはん症およびヘタ枯れ発生率も少なかった。そのため、MA個装した「不知火」果実の長期貯蔵温度は、12℃が最も適している。 | 熊本県農業研究センター果樹研究所 | 88 |
氷温貯蔵によるモモ果実の品種別鮮度保持効果と出庫後の温度管理 | モモ果実は、氷温貯蔵により果実品質の低下が抑えられ、品種間差はあるが28〜42日間貯蔵できる。さらに、出庫後は5℃保冷により果実品質が保たれる。 | 山梨県果樹試験場 | 91 |
技術名 | 技術の特徴 | 開発機関名 | ページ |
ナツハゼの抗インフルエンザウイルス作用 | ブルーベリー類にはインフルエンザウイルス吸着阻害活性があり、総ポリフェノール含量と高い相関がある。特にナツハゼの活性は高く、株が異なるインフルエンザウイルスに対しても吸着阻害活性を有し、加熱をしてもその効果は失われない。 1 ブルーベリー類の3%果汁のインフルエンザウイルス吸着阻害活性を調べた結果、ナツハゼの活性が最も高く、ブルーベリーではラビットアイ系やエリオットが高かった。 2 ブルーベリー類のインフルエンザウイルス吸着阻害活性と総ポリフェノール含量には正の相関があり、活性を示す成分はポリフェノールである可能性が示された。 3 4種のウイルス株を使ってナツハゼのインフルエンザウイルス吸着阻害活性を調べた結果、10%濃度では100%の阻害活性を示したが、株によって活性が異なることが示された。 4 加工法によってナツハゼ果汁のインフルエンザウイルス吸着阻害活性は異なるが、ポリフェノール含量と同じ傾向を示した。また、130℃30分の加熱によっても活性が失われないことが明らかとなった。 | 福島県農業総合センター | 92 |
近赤外分光法によるクリ「ぽろたん」と「国見」の非破壊判別の試み | 光センサーとして糖度や酸度の非破壊測定に用いられる近赤外分光法 により、クリ「ぽろたん」と「国見」は非破壊(鬼皮付きの状態)で 概ね正しく判別できる。 | 茨城県農業総合センター園芸研究所 | 94 |
ブドウ園におけるリン酸・カリ低減型肥料と家畜ふん堆肥を用いた環境保全型施肥 | リン酸・カリ低減型肥料を主体に牛ふん堆肥と鶏ふんをあわせてブドウ園に施用すると、化学肥料由来の窒素比率は24%と低く抑えられ、窒素流亡の少ない環境保全型施肥となる。 また、土壌中のリン酸、カリ蓄積は回避され、慣行施肥と同等の果実生産が可能となる。 | 山梨県果樹試験場 | 97 |
センチピードグラスは樹園地草生栽培に適した草種である | 長野県では既にトールフェスク、ペレニアルライグラス、ケンタッキーブルーグラス及びレッドトップを樹園地の草生栽培用草種として普及に移しているが、これらと比較して、センチピードグラスの地上部乾物生産量および窒素の含有量は同等か多い。また、全面わらマルチ、全面清耕、全面雑草草生栽培の地表面管理法と比較して、土壌溶液中の硝酸態窒素の濃度が極めて低いことから、センチピードグラスのち密な草生を維持することで、環境にやさしい果樹栽培が実践できる。 樹園地の列間土壌の除草を行い、浅く耕起して凹凸をなくす等の事前準備をして、5〜6月にセンチピードグラスを2g/u以上播種する。センチピードグラス草生への雑草の侵入量は少なく、長期間にわたり、雑草の少ない草生が維持できる。 センチピードグラスは暖地型牧草だが、標高360mの当試験場でも十分生育した。また、耐寒性に優れる品種では、標高560mおよび標高870mの現地ほ場でも、十分生育した。 | 長野県果樹試験場 | 98 |
非破壊果実硬度測定装置による果実の内部品質評価 | <システムの特徴> ・音響振動法による非破壊果実硬度測定装置を使用する。 (本装置は広島大学が開発) <システムの概要> ・本装置によりカキの食べ頃を予測できる。 ・本装置により食べ頃の果実硬度を評価できる。 ・本装置によりカキの早期軟化を判別できる。 | 岐阜県農業技術センター | 99 |
STSマーカーによるイチジクの品種識別 | イチジク品種間のISSR等に基づいた多型のSTS化により開発した8種のマーカーを用いることで、8時間程度で国内主要15品種を識別できる。 | 福岡県農業総合試験場 | 100 |
クリ「ぽろたん」の果頂部の果皮黒変と腐敗との関係 | 「ぽろたん」は、渋皮が剥けやすいため青果用並びに加工用として期待が大きい新品種であるが、果頂部が黒く変色した果実が多くみられ、腐敗果になる危険性が高いという理由で、産地においては選別時に除外して市場出荷を行っていた。しかし、果皮の黒変と腐敗との関係について調査した結果、健全な果実と黒変のある果実と腐敗果の発生に差は見られず、収穫時に果皮黒変が見られる果実が腐敗する結果とはならなかった、 | 熊本県農業研究センター球磨農業研究所 | 103 |
ライチ品種「篤姫」の着果における結果母枝の実態 | 天草地域の特産果樹として、有望視されているライチであるが、 着房・着果が不安定で、着果しても翌年は強い隔年結果性を示す。しかしながら安定した着房や着果の要因についてはこれまで明らかにされていない。そこで、比較的安定した着房・着果性を持つ「篤姫」を用い、優良結果母枝の実態を把握した。 ハウス栽培ポット植え、ライチ品種「篤姫」では、樹冠上部および赤道部の結果母枝は、発生角度が大きいほど、また長いほど着果率が高い。特に発生角度が80度以上の長い結果母枝の着果数が多い。 | 熊本県農業研究センター天草農業研究所 | 106 |
R-BIPマーカーによるカキの品種識別 | カキゲノムにおけるレトロトランストランスポゾンの挿入位置の違いに由来するR-BIPマーカー14種を用いることで、国内主要19種を識別できる | 福岡県農林業総合試験場 | 107 |
ブルーベリー収穫用作業台車 | ・一粒一粒手作業で収穫する必要があり、肩や腰に付けたカゴの重さが体への負担となっているブルーベリーの収穫作業の軽労化のため、収穫用作業台車を開発した。 ・開発した作業台車は、逆円錐状の果実受けホッパを備え、手で摘み取った果実をホッパに投入すると損傷することなくコンテナに収納される。 ・収穫作業時間は慣行作業と同程度〜やや短縮となる。 ・収穫後の果実の損傷やブルーム剥離状態は慣行作業と同程度である。 ・作業台車を使用することで、慣行作業に比べて作業者の疲労が少なくなる。 | 群馬県農業技術センター、(株)マツモト | 110 |
ブドウ「シャインマスカット」の省力栽培技術 | ブドウ「シャインマスカット」の短梢せん定栽培において、省力技術を組み合わせることにより、果実品質を低下させずに開花から収穫期の作業時間を約35%短縮できる。 1 花穂整形は、花穂整形器を利用することで作業時間を約60%省力化することができる。 2 1新梢2房利用によりジベレリン処理および摘房作業を約35%省力化することができる。 1新梢に2房着房させても、果粒肥大、糖度の低下など果実品質への影響はみられない。 3 花穂の先端が帯化・分岐した異常花穂は、副穂を利用することで摘粒作業を約35%省力化することができる。 4 果実軟化期以降は副梢の摘心作業を省くことで、新梢管理作業を約75%省力化することができる。 5 これらの省力技術によって、開花から収穫前までの10aあたりの作業時間が242時間から157時間となり、約35%の短縮が可能である。また、果実品質や翌年の花芽への影響はみられない。 | 群馬県農業技術センター | 111 |
土壌中の可給態リン酸が50mg/100gより多いりんご樹園地では、一時的にリン酸施肥を中断できる | (1)土壌中の可給態リン酸が50mg/100gより多いりんご樹園地では、3〜6年間リン酸肥料を施用しなくても樹体生育、果実収量、 樹体のリン吸収量に影響がなく、リン酸施肥を一時的に中断できる(150mg/100g程度では6年間、50mg/100g程度でも3年間)。 (2)リン酸施肥の再開は、3年に1回程度土壌診断を行い、土壌中の可給態リン酸濃度から判断する。 (3)リン酸施肥中断中は、窒素とカリを単肥で施用する。リン酸を無施肥とすることで肥料コストは、慣行の複合肥料施肥と比べておよそ半減できる。 | 長野県果樹試験場 | 112 |