技術【野菜】


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加工・業務用野菜の生産に資する省力化栽培技術・機械
技術名 技術の特徴 開発機関名 ページ
1〜2月どりハウス栽培レタスの保温方法 1〜2月どりハウス栽培レタスでは、慣行の農ビ1重トンネル被覆に内張りカーテンを併用すると、凍害による商品価値の低下を少なくできる。内張りの設置が困難な場合、トンネル被覆にアルミ蒸着フィルムの併用も効果的で、さらに、空気緩衝被覆資材の併用は、慣行トンネル被覆に内張りの併用と同等の保温効果がある。 茨城県農業総合センター園芸研究所 1


その他の技術
技術名 技術の特徴 開発機関名 ページ
2層栽培・根系分割灌水による高糖度トマトの栽培方法 高糖度トマトの栽培において根系を上下2層に分割し、上層への灌水を停止し下層へは十分灌水を行うことで、従来の高糖度トマト栽培での問題点を解決し、以下のような特徴を持つ栽培が可能になった。
・水管理が簡単
・中玉だけでなく大玉品種にも適用できる
・果実が極端に小さくならない
・土壌条件を選ばない
・品種を問わない

本技術を用いることで、夏秋期に果実重量が200 g以上で果実糖度が通常より2度程度高い大玉高糖度栽培が可能になる。
秋田県立大学 4
ウリ類ホモプシス根腐病菌の土壌遺伝子診断技術 ウリ類ホモプシス根腐病菌の土壌からの検出技術を構築した。市販のDNA抽出キットとPCR用の装置(サーマルサイクラー)があれば検査できる。
本病は防除が極めて難しい。病原菌の分布は限られていることから、病原菌を圃場に侵入させないことが最良の対策技術である。地域への病原菌の侵入を阻止するため、本技術を用いてモニタリングしを行い、地域侵入への警戒について意識を高めることができる。
秋田県立大学 5
レタス根腐病レース2抵抗性遺伝子に連鎖した分子マーカーの開発 長野県においてはレタス根腐病レース2の蔓延が心配されている。この病原菌に対する抵抗性品種の育成のため、分子マーカーを利用した効率的な育種技術の開発を試み、抵抗性遺伝子に密接に連鎖した分子マーカーの開発に成功した。これらのマーカーは実用性に富んでおり、今後の新品種育成に利用可能である。 千葉大学 6
ギョウジャニンニクの低温貯蔵による季節外出荷 ギョウジャニンニクは、ニンニクと類似した成分を含有し、機能性野菜として注目されている。一部の地域において栽培も見られるが、多くは野生品の採種・出荷によっているのが現状である。従って、自生地における萌芽時期のみの季節野菜(山野草)として利用されている。本種の鱗茎を低温貯蔵することで、萌芽に必要な低温要求性を満たすとともに、任意の時期に萌芽を誘導し、出荷できる。 石川県立大学 7
大規模農家でも導入可能な株単位の果実管理が可能なスイカの振り分け栽培 スイカには大きく整枝栽培と放任栽培がある。整枝栽培は整枝という作業によって1株当たりの着果数が決められ果実品質は良いが、整枝に要する時間が40時間/10aと労力負荷が大きく、大面積栽培での導入は難しい。一方、放任栽培は整枝しないことから大規模面積に対応した栽培法である。しかし、株単位での果実管理ができないため、果実品質にバラツキが大きい栽培法といえる。本技術「スイカの振り分け栽培」は大規模農家でも導入可能な株単位の果実管理法である。放任栽培ではトンネル内に定植されたスイカのツルが伸長し、トンネル内がツルでいっぱいとなった時期にトンネルを除去し、トンネルと直角方向にツルを左右に誘引する。しかし、これではその後にツルが伸長し隣接する株のツルと交差するため、着果した果実がどの株のものか識別できなくなる。振分け栽培ではトンネル内でツルが伸長する時期に2回程度ツルをトンネルに沿って一定方向に誘引、トンネル除去時に株単位でトンネルと直角方向に交互にツルを振り分け誘引する。この誘引方法により、隣接する株どうしのツルが相互に交差することなく果実が着果するようになり、株単位で摘果などの果実管理が可能となり、果実品質のバラツキが抑えられる。 石川県立大学 8
赤色/青色LEDを利用した新規植物育成技術「Shigyo法」 完全人工光型の植物工場における光源として、LEDの利用が広がりつつある。LEDは波長指向性が高く、植物の光合成に有効な赤色光や青色光(クロロフィルの吸収極大:赤 680 nm付近、青 450 nm付近)を選択的に照射できるという利点を有している。しかしながら、初期コスト高の問題やLED下での生育が自然光には敵わないといった問題があり、普及に向けた技術革新が求められていた。
 申請者らは、赤色LEDと青色LEDを用いた植物の育成のため、リーフレタスを材料として赤色LED単独、青色LED単独、赤青の混合の各条件下で育成試験を行った。この過程において、赤色光と青色光とを交互に照射することによって、植物の育成を爆発的に高める新規な植物育成法「Shigyo法」の発見に至った(Shimokawa et al. 論文投稿中)*1。Shigyo法により、同じ期間、同じ光合成光量子束密度(PPFD)下において蛍光灯と比べ最大で新鮮重が最大2.5倍になるという結果を得ており、完全人工光型植物工場での実用化もスタートしている。
山口大学 9
ソリュブル(鰹煮汁)を活用したミズナの養液栽培技術   化学肥料のものと差別化が期待される有機質肥料であるソリュブル(鰹の煮汁)を活用したミズナの養液栽培(NFTシステム)技術を開発した。
 技術の内容・特徴は次のとおり。

1 ソリュブル使用では窒素施用量を化学肥料使用より4割程度増やすことで、化学肥料使用と同等の収量が得られる。
2 ソリュブル使用は培養液中鉄濃度が低く推移するため、キレート鉄を施用することで生育は安定する。
3 化学肥料使用よりソリュブル使用で植物体中遊離アミノ酸は高い傾向がみられる。
4 食味については、化学肥料使用よりソリュブル使用で「甘み」が強く、「苦み」「えぐみ」は弱くなり、「総合」でも優れる。
福島県農業総合センター 13
無加温ハウスを利用した12〜3月どりレタスに適する品種の選定及び保温管理技術   冬期間の無加温ハウスの玉レタス栽培において、懸念される低温障害に強く加工適性にも優れた品種を選定するとともに、保温効果を高め低温障害を軽減できるハウスの被覆方法等を開発した。
  技術の内容・特徴は次のとおり。
1 無加温ハウスを利用した12〜3月どりレタス栽培では、品種は球重が500g以上で、かつ球緊度が0.3 以下を基準とした場合、「インカム」及び「プラノ」が適する。
2 .レタスは低温馴化(2度C14 日間)により凍結抵抗性が高まる。また、生育に影響が少ないと考えられる温度(電解質漏出率15%)は、馴化なしが−1.7度C、馴化ありが−4.9度Cである。そのため、ハウス内温度が−5度Cを下回る地域では内カーテン又はトンネルを併用する。
3 球緊度の低下及び低温障害の軽減には、12 月どりではハウスの利用(比較は露地トンネル)、1月どり以降では内カーテンの併用が有効である。
福島県農業総合センター 16
抑制栽培キュウリの窒素栄養診断法  抑制栽培のキュウリでは葉柄から採取した樹液中の硝酸イオンを測定することで生育診断する方法が多数報告されている。しかしながら、有機質肥料を主体とした栽培では施肥量と樹液中硝酸イオン濃度が一致しない場合が認められる。本技術では、樹液の採取を摘心枝(摘心時に摘除された部分)とすることで化成肥料と有機質肥料の両方に対応した樹液診断を行うことが可能である。なお、目標とする硝酸イオン濃度は、収穫始期3,000〜4,000ppm、収穫盛期2,000〜3,000ppm、収穫終期1,000〜2,000ppmとする。 福島県農業総合センター 19
トマト雨よけ栽培における総合防除技術 トマトの夏秋雨よけ栽培において0.3×0.4mm目合いの防虫ネットの展張し、温度上昇と通風の改善のための遮光資材を組み合わせることにより、オンシツコナジラミ等微小害虫の発生を抑えることができる。また、糸状菌製剤等の利用によって、殺虫剤の散布を大幅に削減することが可能である。 福島県農業総合センター 21
アスパラガス伏せ込み促成栽培における加温法と伏せ込み資材 1 伏せ込み資材は、籾殻堆肥が山砂に比べて収穫初期のピークが早まり、収穫初期の収量が多くなる。また、収量は山砂と比べ3割程度増収できる。
2 籾殻堆肥の利用により、山砂や当年産籾殻に比べて、電熱線加温による消費電力量を4〜5割程度削減できる。
3 伏せ込み床の加温部位においては、伏せ込み床底加温が、地表10cm下(鱗芽付近)加温より収量性が高い。
4 初期の加温は、伏せ込み後一気に加温するよりも、1週間無加温静置したのち、1週間かけて徐々に、加温(1℃〜2℃ずつ設定温度を上げる)する方法が有効である。
5 温度設定(地温)が高いほど、年内収量が多くなる。また、20℃設定は17℃設定に比べて収量が高くなる。
6 温度(地温)別の収量は、20℃および25℃は同等であるが、加温に係る電気料金は、温度(地温)が高いほど大きいため、設定温度は20℃が適する。
7 以上のことから、望ましい栽培体系は表3のとおりとする。
福島県農業総合センター 25
非黒ボク土におけるキャベツのリン酸半量減肥 1  非黒ボク土で可給態リン酸50mg/100g程度のほ場では、リン酸を施肥しなくても秋作の結球重は慣行施肥と同じであった。
2  また、黒ボク土で可給態リン酸100mg/100g程度のほ場でも、リン酸を施肥しなくても同一ほ場で春秋2作の結球重は慣行施肥と同じであった。
福島県農業総合センター 28
改良マルチ栽培による促成アスパラガスの早期根株重増加 改良マルチ栽培により凍霜害を避け、4月中旬に定植することにより、慣行の黒マルチを使用した5月中旬定植と比較して、掘り取り時の根重を約35%増加できる。
1 改良マルチ栽培とは、加工用トマト等で使われる栽培技術であり、直径20cm、深さ20cmほどの深い植え穴を開け、穴の底に苗を植える。植穴の中の気温は外気よりやや高く保たれるため、低温期の定植が可能。マルチフィルムは、中央部の30cmが透明で両側が黒の配色マルチフィルムが使われる。
2 改良マルチ栽培の保温効果により、3月に定植した場合でも凍霜害による欠株が軽減できる。
3 改良マルチ栽培においては、植穴内の最低気温は、慣行より1.3〜3.0℃高く推移する。
4 改良マルチ栽培で、4月中旬に定植することにより、5月中旬定植と比較して、掘り取り時の根重を約35%増加できる。
福島県農業総合センター 30
夏秋どりイチゴの難防除病害虫に対する総合防除 1 総合防除は、生物的防除資材であるミヤコカブリダニ、スワルスキーカブリダニならびに物理的防除資材であるUVカットフィルム、防虫ネットを取り入れ、化学合成農薬に依存しない防除体系である。
2 屋根面へUVカットフィルムを展張し、ミヤコカブリダニを放飼した夏秋どりイチゴにスワルスキーカブリダニを放飼しても定着できる。
3 UVカットフィルムや防虫ネットに加え、スワルスキーカブリダニを開花後の6、7月に放飼することで、アザミウマ類成幼虫の発生を低密度に抑えることができる。
4 スワルスキーカブリダニの放飼によって、シクラメンホコリダニの被害を小さく抑えることができる。
福島県農業総合センター 33
夏秋どりピーマンの防虫ネット被覆ハウス栽培 1 ネットハウス栽培では、アブラムシ類の侵入が抑制されることによって、CMVへの感染、それに伴う変形果の発生を低減でき、露地栽培と比べて可販果率が向上、可販果収量が高まる。
2 ネットハウス内にミツバチ等花粉媒介昆虫を導入する必要はない。
3 間口5.4mのネットハウス内に3畦(畦幅90cm)を配置する場合、通路幅は作業性を考慮しながら60〜90cmの間で選択できる。また、株間は50cmが適する。
4 誘引にはフラワーネットを使用する。整枝方法は、主枝4本を中心に、側枝の摘除を最小限に留めた放任管理が適する。
福島県農業総合センター 36
アスパラガスのトンネル栽培による作期前進と茎枯病軽減 アスパラガス露地栽培において、3月上旬にトンネル被覆することにより、春の収穫や立茎開始時期が約30日前進可能となる。また、トンネル被覆により茎枯病が軽減し、収量が増加するため、所得が向上する。
1 3月にトンネル被覆することにより、春の収穫が34日、立茎開始が33日前進できる。
2 3月にトンネル被覆すると、前進化により夏の収穫期間が長くなるため、収量が慣行栽培を上回る。
3 トンネル被覆、及び早期立茎により、梅雨前に茎の硬化が進み、茎枯病の発生が少なくなる。
4 トンネル被覆では、資材の物財費、およびトンネル開閉労力が増加するが、収量が多くなり、また単価が高くなるため、10aおよび1時間当たり所得が慣行を上回る。
福島県農業総合センター 38
秋冬レタスは土壌の硝酸態窒素および可給態窒素含量により診断施肥できる 秋冬レタスの施肥窒素量は、収穫期毎に定めた「供給窒素量」から土壌の
「作付け前硝酸態窒素含量」および「可給態窒素含量」を差し引いた量とする。
診断施肥の基準となる供給窒素量(10a)は10月どりで10kg、11月どりで15kgとする。
茨城県農業総合センター園芸研究所 41
臭化メチル剤を使用しないピーマンモザイク病の防除体系 トウガラシマイルドモットルウイルスによるピーマンモザイク病が発生した場合は、土壌中のウイルス濃度を測定し、残根の腐熟と抵抗性品種の栽培をおこなう。夏季等の高温時に土壌中のウイルス濃度が高い場合は抵抗性品種を紙包み法で定植する。この防除体系により安全かつ最短期間で収量性の高い慣行品種に戻すことができる。 茨城県農業総合センター鹿島地帯特産指導所 44
ラッキョウの根茎部連続切除装置  ラッキョウを狭持する配置溝凹部を外周に有するエンドレス移送体が、プーリーを経由するときに生じる曲率変化を利用し、凹部の切り欠け図形の形状が長方形から逆台形の状態時にラッキョウをセットし、切除時には凹部の切り欠け部分の締め付けによってラッキョウが固定されると同時に上から押さえベルトで押さえることにより、切除時にラッキョウの回転やずれを防止し、移送体の両側に切除幅に合わせた間隔に設置した回転刃で、形や大きさが様々なラッキョウを確実に切除する。
 また、回転刃の両サイドに吸水性を有する弾性体を接触するように配置し、その弾性体に少量の水を供給し、回転刃に付着したラッキョウの液汁を払拭しながら洗い流して洗浄することにより、連続切除を可能にする。
福井県農業試験場 45
水溶性食物繊維としてのフルクタンの製造方法  ラッキョウ、ニンニク、タマネギ等のネギ属に属する植物のフルクタンを含有する球根部に水を加え、破砕し搾汁を得た後、冷蔵放置することで、粘着性のガム質を析出させ、水酸化カルシウムを添加して搾汁のpHを高め、炭酸ガスを通し中和後、加熱し、可溶性タンパク質を沈殿として取り除くことにより、水溶性食物繊維としてのフルクタンを製造する方法。 福井県農業試験場 46
シソ科植物の加熱処理方法  シソ科植物の加熱処理方法は、ロスマリン酸を含有するシソ科植物を80℃〜180℃の加熱温度で蒸気又は通風による加熱乾燥により1分〜20分加熱処理することで、シソ科植物から得られるロスマリン酸含量の増加率を120%以上とすることができる。 福井県農業試験場 47
コナジラミ類の早期発見技術と防除の指標  タバココナジラミによって媒介されるトマト黄化葉巻病の蔓延を防ぐには、圃場内におけるタバココナジラミの発生量を適切に管理する必要がある。
 本技術において開発した早期に発見する効率的な発生量調査方法に基づき発生量を的確に把握し、要防除水準(経済的に防除する必要があるかどうかの指標)に基づいて防除を行うことで、圃場内に発生するタバココナジラミの密度を適切に管理することができる。
福井県農業試験場 48
トマト独立ポット耕栽培システム <システムの特徴>
・収量性が高い。
・収獲位置が高く、作業姿勢が改善される。
・草勢のコントロールがしやすい。
・土壌病害の発生・拡大を抑制する。
<システムの概要>
・高さ50cmの位置に架台を設け、鉢花用トレイを20cm間隔で並べ、その中に園芸用
培土を入れた不織布ポットを置く。
・2液方式の養液栽培。
・培地が1.2L/株と少量のため、少量多回数の給液を行う(最多40回/日)。
・排液感知型の給液制御機能により、過剰な給液を防ぐ。
・栽植密度は約2500株/10aで、土耕の約1.25倍である。
・冬季には、温風ダクトで培地加温を行う。
岐阜県農業技術センター 49
夏秋果菜類の土壌病害を回避する新たな超低コスト栽培システム 〇夏秋ナス、夏秋トマトにおいて低コストで土壌病害を回避し安定的な栽培が可能な少量  培地による隔離栽培システムである。
〇以下の3点により大幅なコスト低減(導入経費として培地の3年間連用で年25万円/10a)を実現した。@簡易な栽培槽、A当システムに最適な培地の開発による培地の少量化(5リットル/株)、B固形肥料のみによる施肥体系の開発により、給液装置から液肥混入の必要性を排除しかん水のみの簡素な装置とした。
〇土壌病害がほとんど発生しないか、発生した場合も当該株の除去のみで隣接の株への伝染を大きく抑制できるため、次年度も同一の圃場での作付が可能である。
〇通常土耕並みの収量(10トン/10a)が確保できる。
〇圃場準備、栽培管理等で大幅な省力化(113時間/10aの作業時間削減)が可能である。
岐阜県中山間農業研究所 50
夏秋トマト栽培における在来マルハナバチの活動促進技術  夏秋トマト栽培において、近紫外線カットフィルムを展張した雨よけハウスで在来マルハナバチを利用する場合は、活動に影響の少ないフィルムを選定することによって
巣箱やトマト花房の視認性を高めることが出来る。
 また、ブラックライト(近紫外線波長域の光線)で巣箱を照射することにより、巣箱の視認性を高め帰巣率向上を図ることができる。
岐阜県中山間農業研究所 52
露地夏秋ナスの省力・軽労化技術  生長がゆるやかなナス品種「あのみのり」を台木「トルバム・ビガー」に接木して、仕立て方法を従来のV字から平面仕立て*1とする。さらに、整枝・剪定を省力化した半放任栽培*2とすることによって、V字仕立て「千両二号」と同等の収量・果実品質を確保しながら、収量当たり、収穫・整枝剪定時間を約30%、活動エネルギー量を約20%削減でき、省力化・軽労化を図ることができる。
 
*1 平面仕立ては、従来のV字仕立てより、畝幅が狭く、主枝を畝方向に平行に誘引するため、株に奥行きがなく、作業が楽である。
*2 半放任栽培は、7〜8月のみ側枝を2果+1葉を残して摘心し、収穫後、充
 実した脇芽が着生している節まで切り戻す方法とした。
京都府農林水産技術センター農林センター 54
イチゴうどんこ病の発生を抑制できる病害防除システム イチゴの重要病害であるうどんこ病の発生を抑制するため、紫外線(UV-B)を照射し、イチゴ自身の免疫機能を高める病害防除システム。
ハウス内において天井面からUV-Bをイチゴに照射し、イチゴの病害抵抗性を誘導し、うどんこ病に罹りにくい丈夫な体質にする。また、副次的作用で、果実の果皮色の着色促進・糖度(主にショ糖含量)向上も期待できる。
照射方法は、天井面から20WUV-B蛍光灯を夜間0時〜午前3時までの3時間照射する。光源からイチゴまでの距離は2mを基準とする。
兵庫県立農林水産技術総合センター 55
外気導入型細霧冷房による夏季施設内の高温抑制技術 施設における細霧冷房の冷房効果を高めるため排出型換気扇と外気導入型ファンを併用する。
施設妻面上部の排出型換気扇、反対側の吸気口に加えて、外気導入型ファンも妻面に設置する。これら換気装置の稼働により、施設内の高温高湿度の空気を施設外に排出しつつ低温低湿度の外気を施設内に強制的に導入する。
細霧冷房と換気装置を連動させて稼働させることで、施設内への湿度の蓄積を抑制して効果的に温度を下げることができる。
和歌山県農業試験場 56
イチゴ高設栽培での細霧冷房および送風処理による第一次腋果房の開花促進  イチゴ高設栽培において、ハウス内への細霧冷房および高設ベッド下からの送風処理により、イチゴの株周辺温度を低下させる。細霧冷房は粒径40μm程度のノズルを使用する。送風は暖房機の送風機を用いてベッド下に設置したポリダクトを通して行う。
 特に、早期作型等での定植後9月上旬〜10月上旬に処理を行うことで、株周辺温度を低下させ、第一次腋果房の花芽分化ならびに開花時期を促進させる。
和歌山県農業試験場 57
高設栽培連用培地のイチゴ炭疽病防除における太陽熱消毒の目安 高設栽培の培地の太陽熱消毒において、50℃以上の培地温が2時間以上連続するとイチゴ炭疽病は死滅する。そのための夏季の晴天日の日照時間は6時間が゛目安となる。 岡山県農林水産総合センター農業研究所 58
アスパラガスを立って収穫できる柄の長い電動式収穫ハサミ 「アスパラーク」 ・収穫ハサミのケーシング部を前腕にバンドで固定して、柄の上に取り付けた操作グリップを握り、操作します。これにより、収穫ハサミの重量(約1.5kg)負担を軽減し、片手での容易な操作が可能となります。
・スイッチを押すだけで、刃が閉じ、切断したアスパラガスを刃の上のつかみ部で把持します。もう一方の手で把持したアスパラガスをつかみ、スイッチを離します。
・収穫ハサミの重量負担を軽減できる首掛けバンドも付属しています。
・バッテリーは、満充電(約2時間)で1,800本(作業時間:2〜2.5時間)の収穫が可能です。
・本収穫ハサミの利用により、中腰姿勢が立ち姿に改善され足腰の負担を軽減できます。
・多少の降雨での使用は可能であるが、ケーシング部の水没は避ける。
・本収穫ハサミのパンフレット及び本収穫ハサミを利用した作業性動画を広島県立総合技術研究所農業技術センターホームページからダウンロードできます。
広島県立総合技術研究所農業技術センター 59
生産量全国1位広島ワケギ!球根植え付け機の開発 ◆中腰手作業でのつらいワケギ種球の植え付け作業を省力・軽労化する球根植え付け機を開発
◆圃場での植え付け時間は10%に,つらい中腰手作業はゼロに削減種球詰めは,種球調製作業時に行い効率化
◆チェーンポット(R)の抵抗により物理的にりん茎肥大を抑制し,調製作業の効率化が可能
広島県立総合技術研究所農業技術センター 60
低棟ハウスと全面ベッドによる水耕ネギの超低コスト・高収益施設の開発  本技術は、ネギの水耕栽培における夏季の暑熱環境を大型ハウスと同等以下に維持する低棟ハウス構造とハウス端の作業場所の施工法、ハウス内での作業者を不要とする防除方式と現状の施設の作業効率と同等以上の作業システムからなる。
1)低棟ハウス構造は棟高1.8mで片屋根型(間口8m、奥行き25m)とする。ハウス間距離は、棟高の0.5から1.0倍とする。栽培ベッドは、地面に6列設置して作業用通路をなくし、施設内全面をベッドとすることで、栽植本数を1.5倍に増やす。
2)低棟ハウスの夏季のハウス内気温は、大型ハウスと同等以下で、培養液温度は、最高温度で2.2℃低く推移することを明らかにした。
3)ネギの生育は、夏季では大型ハウスに比べて最長葉長と生体重で同等以上、夏季以外では同等であった。
4)低棟ハウスの端に設ける深さ約80cmの半地下の作業ピットは、底面と壁面の骨材に鋼材を用い、パネル材に耐水性コンパネを用いる。壁面の鋼材は、底面の鋼材に固定する。作業場所の外側に底面の鋼材を張り出して、壁面の鋼材と張り出した底面の鋼材を鉄筋で溶接することにより土圧に対する強度を確保した。
5)低棟ハウスに適した作業システムとして、定植パネル面の高さは「作業者の肘の高さ×0.9」とする。ネギの運搬は作業ピットに隣接させた水路を用いて行う。作業姿勢は、定植時、収穫時ともにしゃがみ姿勢が少なくなり改善された。
広島県立総合技術研究所農業技術センター 63
イチゴの省エネと多収を実現する移動式高設栽培システム「スライドらくラック」 1.栽培ベンチがハウス横方向に水平移動する機構を持ち、作業用通路スペースは固定式でのスペース1列分のみとなり、栽植密度が1.8倍に高まる。
2.株元の培地面下2cmにポリエチレン製パイプを設置し、温湯ボイラーでパイプ内に20±1℃の温湯を循環させ、株元近傍を15℃に維持する局所加温方式を採用する。これにより、温風暖房機は不要となる。
山口県農林総合技術センター 66
イチゴの省エネルギー暖房を可能とする作物体局所加温用テープヒーターシステム 1.テープヒータシステム
(1)幅6mm、厚さ20μのステンレス箔に60mm長の打ち抜き処理をして断面積を小さくすることで、この部分がスポット的に高温になる効果を利用して、イチゴのクラウン部分を局所加温する。テープはPET樹脂で絶縁処理をしている。
(2)テープヒータの長さは、100V電源では25m、200V電源では45mである。
2.利用方法
(1)イチゴのクラウン部の背後(花房の反対側)直近にテープヒータを沿わせ、プラスチックピン等で固定する。
(2)イチゴの花房側のクラウン部直下の培地に温度センサーを設置して、15〜20℃に温度を維持する。
(3)通常8℃程度に加温するところを高設栽培では4〜5℃まで下げ、燃油使用量を削減する。地床栽培では、低温伸張性の高い品種を選定すれば暖房機なしの栽培も可能である。
山口県農林総合技術センター 67
イチゴ育苗における不織布灌水法 イチゴ育苗において、不織布を小型成型トレイ上部に置き、点滴チューブで不織布を介して植穴に直接灌水を行うものであり、水滴の飛散がなく、イチゴ炭疽病の蔓延を防止でき、均一な灌水及び慣行育苗と同等程度の苗の生育、収量を得ることができる。 徳島県立農林水産総合技術支援センター 68
根域制限栽培のための防根透水シート埋設機 1 防根シート埋設のための作業工程には、(1)作溝、(2)肩部分の整地、(3)防根透水シートの配置、(4)シートの固定、(5)シート内への土戻し、(6)栽培床の整地があるが、この内の(1)から(4)の4工程を1工程で行うことができる。
2 培地形状は少量培地(平均幅40cm×深さ15cm)から慣行培地(平均幅50cm×深さ20cm)までの範囲に対応できる。
3 作業速度は少量培地が分速3.6m、慣行培地が分速3.0mである。
高知県農業技術センター 69
中山間地域の雨よけピーマン類におけるキイカブリダニの利用技術 1. オオムギとクサキイロアザミウマを組み合わせたキイカブリダニのバンカーを設置し、他害虫の防除に選択性殺虫剤を用いることで、アザミウマ類、コナジラミ類の発生量およびアザミウマ類による被害を薬剤防除と同等以下に抑えることができた。
2. バンカーとして、4月下旬にオオムギをは種し、5月下旬および6月上旬にクサキイロアザミウマ、6月下旬にキイカブリダニを放飼するとキイカブリダニは放飼後約1ヶ月で100倍程度に増殖した。バンカー上でキイカブリダニの密度が最も高まった7月中旬からオオムギが出穂、枯死し始め、同時期に作物へのキイカブリダニの移動が確認された。
 3. キイカブリダニは作物へ移動しはじめてからおおむね3週間で約8m移動、分散したことから、オオムギバンカーの設置数は10〜15カ所/10aが適当と考えられた。
高知県農業技術センター 70
野菜の鮮度を保持できる新包装袋 透明性、ガス透過性を兼ね備えた新包装袋(ベジフレッシュR)を用いて野菜を包装すると鮮度保持期間が延長できる。
ブロッコリーを新包装袋に詰めて0℃で貯蔵すると4週間品質を保つことが可能になる。
福岡県農業総合試験場 71
宙吊りタイプの新しい出荷容器 イチゴやイチジクなどの果皮が柔らかい果実は輸送中に傷つきやすい。新出荷容器は、果実の形に熱成型した柔軟なポリエチレンフィルムをプラスチックまたは段ボールで支える構造である。果実が宙吊り状態になるため、輸送振動を軽減できる効果が認められる。 福岡県農業総合試験場 76
トンネルと枝ダクトを組み合わせた促成ナスの低コスト株元加温栽培技術 ・安価な資材を用いて促成栽培なすの暖房コストを大幅に削減することができる局所加温技術
・トンネル被覆に暖房用ダクトを組み合わせて株元部を直接加温する
・本技術は、ハウス内温度を10℃で制御する慣行栽培に比べて、8℃で制御するにもかかわらず、同等の収量を確保しながら燃料消費量を約半分に削減できる
福岡県農業総合試験場 79
天敵や微生物の利用を核とした促成栽培イチゴにおける総合的病害虫管理(IPM)システムの開発 [育苗期]
ハダニアザミウマやアブラコバチ類などの土着の天敵を用い、イチゴ育苗期の殺虫剤散布回数を従来の8〜11回から2〜5回に半減。
[本圃定植後]
チリカブリダニやコレマンアブラコバチなどの市販の天敵やBT剤等の微生物農薬を組み合わせることで、化学農薬散布回数を県基準の32回から15回に半減。
福岡県農業総合試験場 82
イチゴ高設栽培における低コスト簡易局部加温法  イチゴの高設栽培において電熱線と保温シートで、培地とクラウン部を同時に加温することにより、ハウス内の最低温度を4℃まで下げても慣行の10℃と同等の収量を得ることができる低コストな技術。
<具体的な方法と効果>
栽培槽の条間に電熱線を敷設し、市販のアルミ蒸着シートを株元のクラウン部にも接触するよう被覆する。電熱線の温度制御装置のセンサーはクラウン部に接触させ21℃で制御する。こうすると、ハウス内の最低温度を10℃から4℃に下げても減収せずに、加温に掛かる経費を7割程度節減できる。
福岡県農業総合試験場 87
トマト袋培地栽培における培地加温による暖房費の削減  本技術はトマト袋培地栽培において、袋培地の下に敷設した4本の電熱線を用いて培地を21℃に温め、保温のためにアルミ蒸着フィルムで培地全体を被覆しておく培地加温方法である。21℃で培地加温することでハウス内の最低温度を対照の15℃から12℃に下げても、商品果収量は対照と同等になる。 福岡県農業総合試験場 90
高温期における葉ネギの発芽促進のための種子吸水処理技術  本技術は高温期の葉ネギ栽培において、播種後の種子の発芽を促進できる種子吸水処理技術である。葉ネギ種子を15℃で24時間浸水し、風乾後、15℃で6日間密閉する種子吸水処理を行うことにより、ほ場での発芽率が80%以上に達する日数が、無処理より3〜4日早くなり、在ほ日数を8〜10日短縮できる。また、収穫時の平均1本重が無処理より重くなり、商品収量が13〜18%増加する。 福岡県農業総合試験場 93
イチゴ生産における局所温度制御システムの省エネタイプの機器構成と必要能力  今までよりも低コストな局所温度制御システム(10a用)を構成するヒートポンプチラーは約5馬力程度(1馬力2.8kW相当)、イチゴのクラウン部を20℃程度(18〜23℃)に温度制御するためには蓄熱タンクの水量は約2tがそれぞれ必要である。
 さらに、暖房機の排熱を補助的に利用できる省エネタイプのシステムは、ヒートポンプチラー、循環水用チューブ、蓄熱タンク、排熱回収器、放熱ファンで構成される。     
佐賀県上場営農センター 96
イチゴ‘さがほのか’における先絞り果(仮称)の発生軽減対策 先絞り果の発生要因のひとつにホウ素欠乏が関与している。発生軽減対策として、窒素施肥量を3g/株程度とするなど株の樹勢安定を図り、FTE等の微量要素(ホウ素50r/株)を元肥施用することが有効である。培地に籾殻を使用する場合には1年以上腐熟させた籾殻を使用する。
 ホウ素の吸収不足を助長すると考えられる根痛みが発生しないように高温乾燥や多肥などに注意する。
佐賀県上場営農センター 97
イチゴうどんこ病の果実発病を抑制する本圃定植後の初期薬剤防除体系 ・促成栽培イチゴの果実におけるうどんこ病の被害は大きく、生産現場からは効果的な防除対策が求められている。そこで、本病の葉および果実における発生状況を明らかにするとともに、果実発病を抑制する薬剤防除体系について検討した。
・その結果、本病は本圃初期にまず葉で初発生しこれが果実発病の重要な伝染源となること、また、本圃定植後の初期薬剤体系防除(2週間間隔4〜5回)は、葉の発病を抑えその後の果実発病を抑制し有効であることが明らかとなった。
佐賀県農業試験研究センター 98
ウリ類退緑黄化ウイルス保毒虫の発生推移とキュウリ抑制栽培での防除対策 ・ウリ科野菜退緑黄化病は、世界的に未知の新種ウイルスによる病害であり、2004年に初発生した後、発生地域が拡大し、現在では九州、四国および関東においても確認されている。本ウイルスは防除が困難なタバココナジラミにより媒介されるため、現地からは本虫の効果的な防除対策の確立が求められている。
・そこで、本病の防除対策を確立するため、圃場周辺における媒介虫の発生消長とウイルス保毒状況を調査するとともに防除対策を検討した。
・その結果、ウリ類退緑黄化ウイルスを保毒したタバココナジラミの発生は8〜10月に高まり、また、抑制栽培では、施設開口部(ハウスサイドおよび天窓、谷部)に0.4mm目以下の防虫ネットを設置し、定植前の粒剤施用と約15〜20日間隔の化学農薬散布による体系防除を行うことで被害の抑制に有効であることが明らかとなった。
佐賀県農業試験研究センター 99
アスパラガス半促成長期どり栽培の主要病害に対する総合的防除体系 ・アスパラガスの半促成長期どり栽培では、斑点病、褐斑病および茎枯病による被害が問題であるが、収穫期間中に使用できる農薬が少なく防除が困難となっている。そこで、これら病害による被害を抑制する防除体系について検討した。
・その結果、近紫外線除去フィルム被覆、土壌表面の残さ焼却、茎枯病発病茎早期除去および立茎後の10〜20日間隔薬剤体系防除を組み合わせた総合的防除体系は、主要病害である斑点病、褐斑病および茎枯病の発生を抑制し、有効であることが明らかとなった。
佐賀県農業試験研究センター 100
水稲+タマネギ作付け体系における極早生タマネギへの有機質肥料の施用法 ・水田の極早生タマネギにおいては、「有機配合肥料」または「有機配合肥料+鶏糞」を窒素成分で10a当たり22kg施用することで、慣行化学肥料の約80%の商品収量が確保できる。
・また、後作水稲は、無肥料であっても、小麦後作水稲と同等の収量が得られる。 
佐賀県農業試験研究センター 101
退緑黄化病に感染したメロン、キュウリ等ウリ類における病徴及び収量、果実品質への影響  ウリ類における退緑黄化病は、ウリ類退緑黄化ウイルス(CCYV)によって引き起こされる病気であり、九州地域、他地域にも徐々に拡大している。
 メロンでは、ウリ類退緑黄化ウイルスに感染すると黄化の初期症状には退緑小斑点を生じる斑点型症状と不定形の大型黄斑を生じる黄化型症状の2種類が見られ、着果約2週間後までに斑点型症状が見られた株では、果実の重量と糖度が低下する。その発症時期が早いほど果重および糖度の低下の程度が大きい。そのため、タバココナジラミを育苗期から着果期まで重点的に防除する。
 キュウリでは、感染時期によって発病する部位が異なり、育苗期や定植期等の早期に感染すると主枝葉や子つる葉から発病し始め、収穫期の感染では孫つる葉から発病する傾向がある。育苗期や定植期等の早期に感染するほど発病が早く、つるの発生及び伸長が悪くなるため、収穫果数は減少する。また、感染時期が早いほど草勢が弱くなり細果の発生が増加して商品果率も低下する。 
 現在のところ、CCYVを媒介するタバココナジラミを育苗期から重点的に防除し、着果期以降も密度を抑えることが重要である。
熊本県農業研究センター 102
PCR法によるイチゴ炭疽病潜在感染株の迅速高感度診断技術 1.PCR法による炭疽病菌の検出は使用するプライマーペアーにより、萎凋性炭疽病菌
(Glomerella cingulata)と葉枯れ炭疽病菌(Colletotrichum acutatum)とを共通のバンドで、あるいは異なったバンドパターンで検出が可能である。

2.外葉の葉柄基部組織をサンプルとして2日間の前培養とPCR法を組み合わせた方法では、従来の簡易診断法と比較して潜在感染株を高確率かつ短時間で診断することが可能である。
熊本県農業研究センター 107
臭化メチル剤を使用しない露地ショウガにおける根茎腐敗病の防除体系 ・臭化メチル剤と同等の効果が得られる防除対策を体系化し、マニュアルを作成した。
・防除対策をショウガ栽培管理暦に沿って示し、要点を「Check(確認)」「Change(替える)」「Choice(選ぶ)」「Challenge(挑む)」で表した。
・本マニュアルの各技術を導入すると、慣行の防除対策と比較して農薬費等により経費はやや増加するが、収量が増加するため収益性は高くなる。
熊本県農業研究センター生産環境研究所 110
土壌診断に基づく夏まきキャベツのリン酸減肥栽培 露地野菜栽培では肥料価格の高騰に対応したリン酸肥料を低減出来る省資源的な施肥技術が求められている。そこで黒ボク土壌の夏まきキャベツ栽培でリン酸を大幅に削減できる土壌中の有効態リン酸含量の水準の解明に取り組んだ。夏まきキャベツ栽培で目標収量を5t/10aとした時、土壌中の有効態リン酸が15mg/100g乾土以上ではリン酸肥料を半減しても目標収量が確保でき、25mg/100g乾土以上ではリン酸肥料無施用でも目標収量が確保できる。 熊本県農業研究センター生産環境研究所 113
メロン退緑黄化病対策には目合い0.4mmの防虫ネットを使用する ・施設側面及び谷開口部はウイルスを保毒したタバココナジラミの侵入経路として重要である。
・これら開口部に0.4mm目合い防虫ネットを展帳することでメロン退緑黄化病の発生を抑えることができる。
熊本県農業研究センター生産環境研究所 116
キュウリ誘引用支柱を利用した簡易ハウスでの高収益野菜栽培体系 ・安価で設置も容易なキュウリ誘引用の支柱を用いた簡易ハウス
・アーチパイプを1m間隔で配置し、桁行直管を5ヶ所に配置して補強すると、風速20m/s程度の強風にも耐えられる。
・キュウリとホウレンソウやイチゴとの組み合わせの他、、ナスとホウレンソウ、ピーマンの長期収穫、キュウリ2作とソラマメなどの栽培体系が可能である。
愛媛県農林水産研究所 119
浮き楽栽培法による葉菜類栽培 発砲スチロール製のフロートに培地を充填した水稲育苗箱を3箱載せ,その自重で箱の底面のみが浸水した状態でプールに浮かばせて栽培する方法。
育苗箱底面が常時浸水しているので,潅水作業が不要である。
浮かんで水平を保つので,地面の均平な整地が不要である。フロートはわずかな力で動くので,育苗箱を楽に運搬できる。
広島県立総合技術研究所農業技術センター 124
水耕ネギ根腐病の防除対策 ネギの水耕栽培において株を腐敗枯死させる根腐病を予防するための農薬に頼らない技術。 広島県立総合技術研究所農業技術センター 126
ホウレンソウケナガコナダニの総合防除法 ホウレンソウの品質・収量を低下させる,ホウレンソウケナガコナダニを天敵を増やす有機物施用と化学農薬の組み合わせにより総合的に防除する技術。 広島県立総合技術研究所農業技術センター 128
家畜糞堆肥の施設ホウレンソウへの施用方法 施設ホウレンソウ栽培において,有機質肥料および家畜糞堆肥を利用し,化学肥料を低減する技術。 広島県立総合技術研究所農業技術センター 130
ダイコンの8月下旬は種における欠株・空洞症軽減技術 8月下旬〜9月上旬播種作型では白黒マルチを利用することで発芽率が向上し,欠株が減少する。また,8月下旬播種において,空洞症の発生し難い品種「夏の守」などを用い,窒素の減肥や株間をやや狭くすることで空洞症の発生を著しく軽減できる。 鹿児島県農業開発総合センター 132
可給態リン酸蓄積ほ場におけるセルリーのリン酸:減肥栽培 可給態リン酸が80mg/100g以上の黄色土 (130mg/100g) と灰色低地土 (141mg/100g) ほ場において、セルリーを二期作で3年間、リン酸無施肥で栽培したが、セルリーの収量は低下しなかった。 静岡県農林技術研究所 135
スイカ炭疽病に効果的な薬剤防除法の開発 スイカ炭疽病は圃場でいったん発生し、蔓延すると防除が困難であることから、生産現場からより効果的な薬剤散布体系の確立が求められていた。そのため、炭疽病の感染危険日の予測に基づいた予防技術を開発した。
本技術は感染危険日を確認後、予防剤を散布する。茎葉伸張期にはマンゼブやTPNを含む薬剤を散布する。これらの剤は耐降雨性が高いため、10日に1度の散布でよいと考えられる。果実肥大期には、イミノクタジン酢酸塩・ポリオキシンやピラクロストロビン・ボスカリドの散布が適している。
感染危険日を特定することにより、効果的な防除が可能であるとともに、薬剤の特性を考慮した防除体系の組み立てに活用できることから、使用薬剤の低減が期待できる。
石川県農林総合研究センター農業試験場 137
燃焼排ガス中の二酸化炭素を利用した圧力スイング法による施設園芸用二酸化炭素施用装置 加温機排ガスから二酸化炭素を圧力スイング法により、二酸化炭素吸着剤に貯留し、必要に応じ、園芸施設内に放出させる二酸化炭素供給用装置 奈良県、産総研、他 138
クズの栽培方法 シートで覆われた圃場にクズの苗を植え、栽培する方法 奈良県 139
促成ナスにおける日の出後炭酸ガス施用法 ・日の出後1時間を目安に、光合成促進装置のみの稼働によって炭酸ガスを施用する技術
・従来の日の出前に暖房機と連動させて施用する方法より、ハウス内気温が高い時間帯の炭酸ガス濃度を高く維持できる。
・日の出後の炭酸ガス施用により、無施用と比較して商品果収量が約8%増加する。
福岡県農林業総合試験場筑後分場 140
慣行作型との組み合わせに適したイチゴ厳寒期どり新作型  イチゴの促成栽培において、小型紙ポットで育苗した苗を密植することにより、12月〜2月の収穫期間に10a当たり3tの収量が得られる作型。
<具体的な方法> 
・容量130ml小型紙ポットで育苗し、8月20日〜9月5日頃までに最終追肥施用。
・9月19日〜9月26日頃に花芽分化確認し、白マルチを被覆した畦に定植。
・栽植密度は、内成りでは畦幅110cm、株間12cmの2条植えで15,100株/10a、外成りでは畦幅90cm、株間15cmの2条植えで14,800株/10a。
・11月中旬より5℃で加温、無電照で栽培。
<効果> 
・12月〜2月の収穫期間で10a当たり3tの収量が得られる。
・2月までで収穫が終了し3月以降の労働時間は増加しないため、現状の労働力のままでも慣行作型と組み合わせて栽培できる。
福岡県農林業総合試験場 143
光環境を改善できる可動式光反射シート  「可動式光反射シート」は愛媛県と東宇和農業協同組合が平成26 年に共同で特許登録した装置で、高設ベッド上端に光反射率の高いシートを取り付け、下垂させたシートの裾を栽培ベッド間の中央まで押し広げることによって、ベッド間にV 字型の光反射面を形成することができる(特許第5521163 号).可動式光反射シートは通路に降り注ぐ太陽光を植物体に反射させることができ、寡日照地域や厳寒期等の光環境の改善効果が期待される.また、収穫等の作業時は簡単な操作で光反射シートを収納することができる。 愛媛県農林水産研究所 146
葉菜類を周年安定生産できる低コスト野菜栽培プラント  葉菜類の栽培や野菜等の育苗に利用できる、低コストで施工の簡単な野菜栽培プラント。直管パイプによる架台上に、栽培槽、給水マット、灌水チューブを組み合わせた愛媛県農林水産研究所方式底面給水システムを設置し、給排水の配管と灌水のためのポンプ、タイマーを取り付けることにより作成。プラントに係る資材はすべて市販品であるため、100u当たり35万円程度と安価。
 栽培は72穴または50穴のセルトレイに緩効性肥料を混合した専用培土を詰め、葉菜類を播種し栽培槽に設置して行う。栽培期間中、一日数回の灌水チューブによる自動灌水で栽培槽に水を溜め底面給水を行うとともに、栽培槽の端から垂らしたマットの毛管現象による余水の排水を繰り返すことで葉菜類を生育させる。周年栽培可能な5品目(ミズナ、コマツナ、カラシナ、チンゲンサイ、ミニセルリー)と、季節限定で栽培できる6品目(葉ネギ、リーフレタス、シュンギク、ホウレンソウ、エンサイ、ラディッシュ)について栽培技術を確立しマニュアル化。
愛媛県農林水産研究所 147
転炉スラグを用いた土壌pH改良によるホウレンソウ萎凋病の被害軽減 ホウレンソウ萎凋病発生圃場に転炉スラグを処理し(土壌改良深は10cm)、土壌 pH を改良することで本病の被害を軽減できる。土壌 pH が 8 を越えると生理障害が発生しやすくなるので、改良目標を 7.5とする。生育・収量に対する負の影響は認められない。十分な被害軽減効果を得るため、転炉スラグの処理量は必ず土壌緩衝能曲線を作成した上で決定する。また、処理 2〜3 週間後に土壌 pH を測定し、深度 0-10cm の表層土壌が目標土壌 pH となっていることを確認する。 岩手県農業研究センター 149
転炉スラグを用いた土壌pH改良によるキュウリホモプシス根腐病の被害軽減 キュウリホモプシス根腐病発生圃場に転炉スラグを処理し、土壌pH を改良する(土壌改良深は10cm)ことで本病の被害を軽減できる。土壌pH が8 を越えると生理障害が発生しやすくなるので、改良目標を7.5 とする。生育・収量や果実品質に対する悪影響は認められない。十分な被害軽減効果を得るため、転炉スラグの処理量は必ず土壌緩衝能曲線を作成した上で決定する。また、処理2〜 3 週間後に土壌pH を測定し、深度0-10cm の表層土壌が目標土壌pH となっていることを確認する。 岩手県農業研究センター 150
岩手県北地域における業務用向け露地ほうれんそうの栽培法 夏どり作型で4月上旬から5月下旬、秋どり作型では8月中旬播種、施肥量を窒素成分1.4〜1.75kg/a、栽植距離を条間40cm株間4〜7cmとする。播種直後にレナシル水和剤を散布し、初夏どり作型では本葉4枚期に中耕除草を実施する。 岩手県農業研究センター 151
土壌くん蒸剤による難防除雑草ゴウシュウアリタソウの防除対策 県内の雨よけほうれんそう施設内で発生しているゴウシュウアリタソウの抑草対策として、ダゾメット粉粒剤またはカーバムナトリウム塩液剤を用いた土壌くん蒸処理が優れる。 岩手県農業研究センター 152
園芸ハウスをエアー送風内張2層化すれば燃料消費量が削減できる ・ 「エアー送風内張2層化技術」はハウスの軒高が低いなど内張2層のためにフレーム等を追加することが困難なハウスでも内張1層の上側に重ねてフィルムを追加し、2枚のフィルムの間にファンで空気を送り込むことにより、既存のフレームだけで簡単に内張2層化が可能となる。
・エアー送風内張2層の燃料消費量は、内張2層に比べて少なく、冬季(11月上旬〜翌年3月下旬)で約84%に削減され、さらに暖房機設定温度と外気温との温度較差が高い厳寒期ほど削減効果は高く、温度較差12℃の場合には79%に削減した。
・エアー送風2層は昼間の巻き上げ管理が可能で開閉作業前に2層を萎ませておけば、開閉作業労力は内張1層と同等である。
・必要な資材費や削減される重油代などを基に経費試算した結果、費用はエアー送風内張2層が内張1層より約81,000円/10a・年(ハウス奥行70m以上は約39,000円)削減できる。
熊本県農業研究センター 153
産地における種ショウガの効率的な温湯消毒法 ・汎用型温湯消毒機(温湯400リットル)1台で1日(8時間)当たり種ショウガ600kg(10a分)の温湯消毒ができる。
・温湯消毒後の種ショウガを貯蔵庫で2週間保存しても定植後の生育には影響がなく、根茎腐敗病に対する防除効果が認められる。
・種ショウガを温湯が準備できた後に連続して処理し、定植2日前〜2週間前の期間に処理した種ショウガを貯蔵庫に保存しておくことで、健全な種ショウガを大量に準備することができる。
熊本県農業研究センター 156
生物的防除を組み込んだ施設栽培葉ジソ(オオバ)における主要害虫の防除技術 ボーベリア・バシアーナ乳剤処理を主体としたマデイラコナカイガラムシ防除、スワルスキーカブリダニ放飼によるチャノホコリダニ防除とハスモンヨトウに対する合成性フェロモン剤処理などの化学的防除を組み合わせることで、施設栽培葉ジソでの主要害虫の発生を抑えることができる。 高知県農業技術センター 159
結露センサーを用いた加温によるシソ斑点病防除 結露センサーと暖房機制御装置を一体化させた病害防除コントローラー(商品名:まもるん、鈴木電子製)を用い、施設内に設置した結露センサーが示す結露値(病害防除コントローラー固有の値)を100以下に維持するように暖房機を制御装置で稼働させることで、斑点病が防除できる。 高知県農業技術センター 162
カボチャ新品種「ジェジェJ」の特性を活かすことで2月出荷が可能  短節間・高貯蔵性カボチャ「ジェジェJ」は,貯蔵中の果肉の軟化や果皮の退色が少なく,長期貯蔵に適する。鹿児島県の本土地域では,8月下旬播種で11月下旬に収穫し,10℃以下で貯蔵した場合,2月に出荷ができる。また,密植栽培により40%程度の増収が可能である。 鹿児島県農業開発総合センター 165
カラーピーマンにおける生分解性ポットを用いたモザイク病対策 ピーマンの生分解性ポット利用によるPMMoV対策が、開花から収穫までの日数の長いカラーピーマンでも適応できるかを検討。
 残渣の腐熟処理を行った後、生分解性ポットを利用して定植すると発病を抑制する。一般に生分解性ポットを用いると収量が低下するが、定植する場合に通常より5〜10日早い若苗を用いると収量を維持できる。
鹿児島県農業開発総合センター 168