JADEA 一般社団法人全国農業改良普及支援協会
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トップページ各種情報知的財産(農林水産分野知的財産人材育成総合事業)寄せられた質問と回答商標権・地域団体商標制度に関する質問質問と回答
質問と回答
質問
 商標の海外での申請登録は、全世界というのは厳しいと思いますので、どういう基準で国を選択していけば良いのでしょうか。まねされやすいアジア圏内は抑えておけばよいとの認識でよいでしょうか。
回答
 ご存じのように、商標権は基本的に各国単位で取得する必要があります。例外としては、EU各国をカバーする共同体商標(コミュニティートレードマーク)などがあります。マドリッドプロトコル(略称「マドプロ」)による国際登録も一括してマドプロに加盟している多数の国に対して出願をすることができますが、権利は各国毎に発生しますし、登録料なども各国毎の料金を積算することになります。
 すると、全世界で販売する製品については、全世界で商標登録することが望ましいと言うことになりますが、世界中で100数十カ国ありますので、国別の許認可が必要になる医薬品や、本当に国際的な商標をのぞいて、多くの国に出願することは現実的ではありません。
 そこで、どの国に商標出願すればいいのかを検討することになります。
その判断のためには、まず、その国で商標を使用する予定があることが前となります。商品を販売する予定もない国に商標出願をする必要はありません。一般的には、次の三つくらいのポイントを検討するべきでしょう。(1)市場規模、(2)権利の有効性、(3)盗用に対する配慮です。
 まず、市場規模です。商標の取得と維持のコストを正当化する程度の市場規模があるか、期待されるかが問題になります。その国の市場のサイズを見て、十分な売り上げと収益が期待されるならば、その国で商標出願をして登録を受けることが望まれます。
 もう一つは、権利の有効性です。つまり、その国の商標保護の実体を考える必要があります。せっかく商標の登録を受けても、裁判所や行政官庁に持って行って商標権が行使できないような国では、あまり意味がありません。きちんとした法制度と裁判所、行政手続きがあることを見極める必要があります。
 さらに考えておくべきこととしては、他人がその国で先に商標出願をしてしまう可能性です。世界中のほとんどの国が商標権についても先願主義(先に出願した者が商標権を得ることができる制度)を採用しています。その国への販売の可能性が生まれたときには、あるいはそれが考えられる場合には、その国への出願をすぐ検討して、他人に先を越されないように注意する必要があります。
ご質問にあるアジアを見ますと、まず中国への出願が想定されると思いますが、農産物の場合、輸出規制や禁止されているものもありますので、そのあたりも考慮されるべきでしょう。中国の場合、現状では出願から登録まで2年以上かかっていますので、将来の規制緩和・撤廃を見越して早めに対応することも必要です。また、商標を構成する文字に漢字が含まれる場合は、漢字が使用されるアジア諸国への出願を考慮された方がよいでしょう。
(平成22年2月)
回答者 日本弁理士会
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