JADEA 一般社団法人全国農業改良普及支援協会
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トップページ各種情報知的財産(農林水産分野知的財産人材育成総合事業)寄せられた質問と回答育成者権に関する質問質問と回答
質問と回答
質問
 登録が失効した品種を直売所やインターネット等で販売するとき、下記の場合について問題がありますか?

【1】種子を正規ルートで購入し、品種名を表示して販売(品種登録は失効している)

【2】古い品種のため事実上種子の購入が不可能なので、 以前に購入していたものを自家採種を繰り返して生産し、品種名を表示して販売(品種登録は失効している)

【3】出所はわからないが種子を譲り受け、品種名を表示して販売(品種登録は失効している)
回答
 今回の質問は、全て登録が失効した品種の販売ということですので、育成者権の効力は及ばず、特に問題は生じないでしょう。失効した品種の種苗、収穫物及び加工物に関して業として利用することは基本的に自由です。ただし、種苗法には、登録された品種名については、失効後もその名称を用いなければならないという名称使用義務(種苗法第22条)や、失効後にあたかもまだ登録があるかのような虚偽の表示を禁止する虚偽表示禁止規定(種苗法第56条)がありますので、注意が必要です。

【1】について
 「種子を正規ルートで購入し,品種名を表示して販売する行為(品種登録は失効)」ですが、これは自由に行えます(もともと正規ルートで購入したものですので、たとえ品種登録期間中であっても、育成者権者の許諾なく種子の再譲渡は行えます)。品種名を表示して販売する行為も問題ありません。ただし、この場合、上記した名称使用義務がありますので、登録されたときの品種名を用いて販売しなければなりません(「品種名○○」という表示)。
 また、品種登録失効後の販売行為ですので、その販売のときに、その品種名に品種登録表示(例えば「登録品種」、「品種登録第○○号」などの表示)又はこれと紛らわしい表示(例えば「種苗登録」、「品種登録済み」、「Plant Protection」などの表示)を付してはいけません。虚偽表示禁止規定(種苗法第56条)に該当することになり、刑事罰の対象ともなります(種苗法第69条:3年以下の懲役又は300万円以下の罰金)。
 なお、失効後も過去に登録品種であったことをPRしたいという場合には、「品種登録第○○号(平成○○年○月登録期間満了)」というような書き方ができます。

【2】ついて
 品種登録は失効していますので、以前に購入していたものを自家採種を繰り返して生産し,品種名を表示して販売することに、格別の問題はありません。ただし、名称使用義務がありますので、同一の品種名を使用する必要があります。その際、上記【1】でも触れたように、品種登録表示又はこれと紛らわしい表示を付して販売してはいけません。なお、当然ながら、自家採取の繰り返しにより、変種となった場合には、同じ品種名を付けて販売することはできません。

【3】について
 これも品種登録は失効していますので、基本的に問題ありません。ただ出所が分からないということですので、最初に正規ルートで購入したものなのかどうか少し気になるところですが、いずれにしても品種登録は失効していますので販売に問題はないでしょう。ただし、出所不明ですので間違いなくその品種なのか、よく確認する必要があります。その他、上記【1】や【2】と同様に、名称使用義務と虚偽表示禁止義務のある点に注意が必要です。
(平成20年10月)
回答者 日本弁理士会
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